(1)拡張的なイマーシブ・レジデンシャル・モデル
いま世界中で行われているオンライン講義は、4年間のレジデンシャル教育(学生が衣食住をともにする全寮制教育)のイマーシブなプログラムが、いかに優れた価値提案であるかを明らかにしてきた。
学生たちは、(ひょっとすると生まれて初めて)家族から離れて大学のキャンパスに住み込み、教室(と寮で)終わりのないディスカッションや問題解決、経験ベースの学習、そしてコンフリクト・マネジメントに取り組むことができる。
ほかの学生との交流は、自信やブランド・ロイヤルティ、仲間意識、生涯にわたる友情、そしてユニークなコミュニティ感覚をもたらしてくれる。また、コミュニケーション・スキルや、感情的知性、そしてネットワーキング・スキルも身につけることができる。
レジデンシャル教育の強烈な経験は、学生たちに「心のふるさと」をつくり、アイデンティティと自立精神を高める。しかし4年にわたるイマーシブなレジデンシャル大学教育は、多くの恩恵があるとはいえ、莫大な費用がかかる。また、いかにそれがパーソナルで、多くのつながりをもたらし、人生を変えるような経験をもたらすとしても、その利点をもってして大学教育の唯一の選択肢にするべきだと主張されるべきではない。
トップランキングの大学は、多くの構造的アドバンテージ(国際的なブランド認知度、世界レベルの教員へのアクセス、名門企業への就職、そして有力な卒業生)を持つが、いま、オンライン教育の経験を利用して伝統的なモデルを強化する方法を探るチャンスを手にしている。
こうした大学のトップは、以下のことを自問すべきだ。
・新しいデジタル・ケイパビリティをどのように使えば、レジデンシャル経験を一段と改善できるか。
・どうすればレジデンシャル経験を、歴史的に割合の少ないマイノリティの成績優秀者や、低所得家庭出身の学生にもっと提供することができるか。もっと奨学金受給者を増やせるか。
・レジデンシャル学習で得られる輝かしい学位を、もっと多くの学生が利用できる、よりハイブリッドなタイプ認証で補うことはできるか。大学が提供できる、異なる経験のセットはどのようなものか。