(3)期待される参加レベルを見直す

 マネジャーと同僚は、スタッフに期待される参加レベルを下げるべきだ。みんな正常なオペレーション下で、在宅勤務をしているのではないことを認識しよう。

 危機は予測できないもので、不安を招き、通常の営業日以上の注意力を必要とする。したがって、あるスタッフが、バーチャル飲み会のようなチームビルディング活動に参加したがらないからといって、その人の仕事へのコミットメントを疑わないこと。

 対面のネットワーキング活動は、黒人スタッフにとって居心地が悪く、ストレスに感じられることがあるものだ。また、「プロフェッショナルな」ミーティングに向けて、カメラ映りのいい外見や環境が整っていないなど、外的要因がある可能性もある。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックでは、黒人コミュニティはいびつに大きな影響を受けてきた。多くの黒人スタッフは、家族や友人の死を嘆いたり、家族の世話をしたりしているかもしれない。そこに警察の不当な暴力など、現在も続く人種差別の苦しみも加わっている。

 心理的な苦痛を抱くスタッフは、感情表現をうまくコントロールできないことがあり、それが仕事に対する関心や関与の欠如のように見える場合がある。黒人スタッフについても、チームの成功に全力を注いでいないと決めつけるのではなく、毎回、それぞれにとって快適な(そして利用可能な)方法でミーティングに参加するよう促すことで、マネジャーは黒人特有の経験を尊重することができるだろう。

 最も重要なのは、誰もがそれぞれの環境の中で最善を尽くしていることをマネジャーが認め、スタッフに自分らしい表現許可して、彼ら自身とチームを強化することだ。黒人スタッフは、自分の文化的アイデンティティを表現するために、オンライン空間を使うことが多い。マネジャーは主観的な判断をやめて、この種の自分らしさの表現を奨励することができる。

 これら3つの提案は、「すべての」スタッフをサポートし、持続可能な組織文化を構築するために必要な、インクルーシブ・リーダーシップのモデルとなる。黒人スタッフのニーズに対処すれば、インクルーシブなリーダーは、今回の危機とその後の数ヵ月にわたり、共感とアジリティ(敏捷性)を高める境界線を、独創的かつタイムリーに引き直すことができるだろう。

 組織心理学者のバーナード・フェルドマンは、次のように書いている。「インクルージョンの実践は、ある集合を定義するうえで全員が発言力を持つべきであることを意味する。したがって、新しいメンバーが参加したら、その境界線は定期的に(あるいは常に)見直されなければならない。また、現在の状況、ニーズ、そして優先順位に基づき、その規範や慣行の適合性や関連性が評価される必要がある」

 私たちがコロナ禍の最中にも「仕事に行く」とき、この種のインクルーシブ・リーダーシップは何よりも必要とされている。


HBR.org原文:Working from Home While Black, June 17, 2020.


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