●相手の反応を見て関わり方を調整する

 職探しは長期にわたり、いら立つすることもある。

 あなたの同僚は、希望に満ちた熱狂(「面接の連絡がきた!」)と、自己批判と自己不信(「私には必要な資質がないかもしれない」)の間を行き来するかもしれない。相手の味方になって助けになるためには、よく話を聞いてやり、相手が安心して自分の考えや心配を打ち明けられる存在になる必要がある。

 だからといって、相手が言うことすべてに頷いてやる必要はない。ゆがんだ思考や間違った思い込み(「50歳をすぎた私を雇う会社なんてどこにもないだろう」「いつも面接で失敗してしまう」など)は、きちんと指摘して反論すべきだ。

 また、相手が実力を発揮するためには、新しい職場にどのような条件が必要かをよく考えるよう促し、客観的な基準に基づき選択肢を検討するのを助けるのもよいだろう(「海外勤務の可能性がある仕事をしたいと言っていたよね。このポジションだったらどうだろう」など)。

 ただし、相手との人間関係がもっぱら職探し中心になってしまうほど、のめり込まないのも重要である。頻繁に質問すること(「何か進展はあった?」「今週は何社に履歴書を出した?」など)は、相手のストレスを大きくしたり、劣等感を抱かせたりするだけだ。そうではなく、あなたとどのように関わりたいかに従おう。

 もし同僚が職探しの詳細を語りたがるなら、それは結構だ。しかし、それが相手の日常だとしたら、もしかすると他の話題について、あなたと楽しい「ふつうの」会話をしたり、共通の友達の近況を聞いたりすることに喜びを見出すかもしれない。

 同僚が間違った方向に向かっている、あるいは仕事探しに十分なエネルギーを注いでいないと感じることもあるかもしれない。だが、相手の人生には、あなたが知らない、職探しに影響を与える何かが起きているのかもしれない。

 それに新しい仕事(あるいは天職)を見つけるのは、究極的には本人の責任であり、あなたはサポート役に徹するべきだ。それも、あくまで相手が希望する場合に限る。

 同僚が仕事を失う一方で、あなたは仕事を維持することができたら、決まりが悪くなるのは当然だ。あなたは助けになりたいのであり、同僚の傷に塩を塗ったり、間違ったことを言ったりすることは避けたい。本稿で示した3つの原則に従えば、相手の状況に気を配りつつ、ポジティブな変化を起こすことができるだろう。


HBR.org原文:How to Help a Colleague Who's Been Laid Off, June 25, 2020.


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