●手本を示す
我が社が「在宅勤務」を命じるにあたり、私は毎朝、チームのフェイスブック・グループに動画のライブ配信をすることにした。チームが常に最新情報を把握し、一種のルーチンを確立できるようにするためだ。
この毎日の動画で、チームメンバーは私のありとあらゆる面を目にする。寝ぐせのついた髪、パジャマ、キッチンを走り回る子どもたちなど、何もかもだ。もちろん、私は仕事の話をする。成果を称え、モチベーションを上げるスピーチをし、会社の現状を知らせる。
だが、仕事の話だけするということはない。むしろ他の話題のほうが多いぐらいだ。どんなパンや菓子を焼いているか、どうやってアクティブな生活を保っているか、多発性硬化症で家から出られない母を訪問できずに、どんな気持ちでいるか、などである。
なぜそうするかというと、チームの基本的な雰囲気を決定づけるのがリーダーとしての私の役割だからだ。チームのメンバーが安心して互いに心を開き、率直になることを期待するなら、まず私自身がそうしなければならない。
それに、チームは私がやったことを、すっかり気に入っていることがわかった(もちろん、調査済みである)。彼らからのフィードバックによると、これまで見たこともない私の一面(というか、多くの面)を見て、彼らも安心して自分の家庭生活やアイデンティティ、困難について率直に話せるようになったようだ。
●よいところ以外の部分も共有する
夫のデイブが自分の会社ライカブル・メディアを興し、私がそのCEOの役を担うことになったとき、私はインポスター症候群に悩まされ、リーダーとしての自分のアイデンティティを見出すのに苦しんだ。
デイブはもともと声が大きく社交的だが、私は裏方の仕事をするのに慣れていた。リーダーとしての私の居場所をつくり出し、自分のやり方に自信を持てるまで、しばらくの時を要した。
当時、このことをチームには一言も打ち明けなかったが、何年も経ってすべてわかってきたいま(いや、ほぼすべて、と言うべきだろう。完全に理解することなどありえない)、こうした話を共有することが、いかに大事かがわかる。
私は、いつでもすべてが順風満帆だと言い張るつもりはない。時にはうまくいかないことがあるのが現実だからだ。チームは、私の正直さや透明性が好きだとよく言う。自分も正直になろうとするときの不安が和らぐ、というのである。
もちろん、職場で何かを打ち明けるにはふさわしいタイミングというものがあるし、あなたのアイデンティティや生活には、誰にも話さないと決めている部分もあるだろう。
しかし、弱さそのものが力でもある。自身が直面している困難を打ち明けたとき、新しい次元の理解と信頼がしばしばはぐくまれるのだ。