ドグマを取り替えるだけではいけない

 あなたが目指す「ベストなこと」は常に、損益を超えたものであるべきだと覚えておくのが重要だ。

 2019年8月、米国財界団体のビジネス・ラウンドテーブルは、企業の目的は株主の利益を最大化することではなく、すべてのステークホルダー(顧客、従業員、サプライヤー、コミュニティを含む)に価値をもたらすことだと、大掛かりな方針転換を示した。未来の企業の従業員態勢やワークシステムは、「何」を「どうやって」だけなく、「なぜ」に関するリーダーの深いビジョンを反映することが理想だろう。

 たとえ一部の指標では、リモートワークの生産性が低く見える場合でも、それは二酸化炭素排出量の削減やワークライフバランスの改善によってカバーできるかもしれない。ツイッターとフェイスブックではうまくいくことが、あなたの会社では(少なくとも当初は)うまくいかない可能性はある。しかし、そのもがきが、その後にやるべき重要な変革の方向性を示してくれるかもしれない。

 フューチャーバック思考は、揺るがぬ真実を明らかにする方法ではない。それは、あなたが未来を形づくり、管理する方法を与えることで、自分たちの組織の長期的な存続を可能にする。

 マイクロソフトのナデラが言ったように、あるドグマを別のドグマに変えることが最善の解決策であることはめったにない。ほとんどの場合、ドグマそのものに最大の問題がある。

 最終的に勝利を収めるのは、最も明快でインスピレーションを与えるビジョンを示し、最もスピーディに学習し、最もうまく方針転換をできる会社なのだから。


HBR.org原文:Does Your Company Have a Long-Term Plan for Remote Work? July 20, 2020.


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