●遂行

 あなたは組織に対して義務感を感じているだろうか。あるいは、チームを守らなければならないと感じることが多いだろうか。このレンズを使ったリーダーは、ある地位を獲得したことにリーダーシップの原点があると考える。

 たとえば、ランディはこう語った。「シカゴの代理店に勤務するまでは(リーダーであることについて)考えたことは一度もありませんでした。私は実際、50ヵ所のオフィスに所属する正社員50人(を抱えた組織)を管理し、その全員が私を必要としていました。そのときに『私は大きな役職に就いていて、多くの人に対して責任を負っているのだ』と感じました」

 遂行のリーダーたちは、仕事の領域における自律性とコントロール感を保持することや、チームに対する強い義務感と責任感を明かした。彼らは、家父長的なリーダーシップのスタイルを持つと表現する傾向があり、チームの管理、サポート、指導に言及する特徴がある。

 ●受容

 このレンズを使った人々は、人が自分に「従っている」ことに気づくまで、自分をリーダーだとは思っていなかった。人々が答えや指導、サポートを自分に求めることに突然気づいたという。

 タイラーはこう語った。「リーダーになりたいと言ったわけではありません。しかし、当時のクラスメイトが(私の)リーダーシップの資質を見抜いていたのだと思います。人に対して平等に接し、敬意を持ち、公正で力強い決断ができるということです。振り返ると、私はリーダーシップとは何かを知る前から、人からリーダーとして認められていたと言えます」

 タイラーの言葉が示すように、このタイプのリーダーは、自分よりも他人のニーズを支援し、それに応える傾向があり、たいていは態度が控えめだ。

 あなたはどのようにして、今日の姿のリーダーになったのだろう。上記のレンズのうち、あなたが最も自然と引かれるものはどれだろう。

 自分が語るストーリーが、あなたが人をどう導くか、そしてあなたが「誰」をリーダーあるいは潜在的リーダーと見なすかにどのようにつながっているかを考えてみよう。

 この作業は、単にあなたの過去を特定しているのではない。リーダーとしての初期の経験を振り返るために使うレンズは、良い意味でも悪い意味でも、あなたの行動に影響を与える。