
コロナ禍で、デジタル化が急速に進められている。特に歴史のある大企業では、レガシーシステムや旧来型のアプローチが妨げとなっていたが、もはや新たなテクノロジーの導入なくして生き残ることはできない。だが、いくら最先端技術に投資しても、それを受け入れる組織文化がなければ、結実しない。従業員が新たなテクノロジーを使いこなし、組織が最大限にその能力を発揮する文化を構築するために、そのカギとなる5つの方法を解説する。
テクノロジーは世界のありとあらゆるところで活用されているが、組織における最先端テクノロジーの活用は、まだまだ最適化されているとは言いがたい。
乗り越えなければならない壁がいくつもあるために、組織内における最新テクノロジーの導入には時間がかかり、まったく進んでいないケースさえある。そのため、旧来のレガシーシステムがいまだに生き残り、組織が最大限の潜在能力を効率的に発揮する妨げとなっている。
新たなテクノロジー導入の遅れは、長年にわたって企業の懸念事項だったが、パンデミックのまっただ中である現在、それは危機へと変わった。
自社のビジネスモデルの一部、あるいは全体を再評価せざるをえなくなった企業の多くが、厳しい市場環境で戦うために新たなテクノロジーを使い始めている。
収益の低迷を防ぐために、オンラインでの存在感を高めるような社外向けの変革に加え、給与支払い機能の自動化、あるいは在宅勤務を効率的かつ生産的にするためのワークフローを管理する全社的ツールの利用といった社内的な変革も進めている。
こうした急速なデジタル変革を、IT企業が支援している。IT企業のビジネスモデルは、できるだけ多くのユーザーに自社プロダクトを手にしてもらうところから始めることが多い。
テクノロジー・イノベーターのほとんどは「テクノロジーの民主化」を信じている。すなわち、テクノロジーのプラットフォームを無料または最低限の費用で利用可能とし、ユーザーの使い方がその後のプロダクトやイノベーションの展開に大きな影響を及ぼすのである。
たとえば今回、コロナ禍で突然、オンライン教育用のツールが大量に必要となった。グーグルが1社で提供しているおびただしい数の製品のおかげで、学校や教育機関はすぐに使い始めることができた。ここから得た情報をもとに、グーグルは今後のプロダクト開発のロードマップを決めるだろう。
このように、にわかにテクノロジーを導入する動きはあるものの、テクノロジーの活用にはまだ時間がかかりすぎている。長期的な効果も未知数である。なぜ、真の意味でテクノロジーを使いこなすことが、これほど難しいのだろうか。