●ブレイクアウトルーム

 大規模な会議の最中に、小規模なバーチャルのブレイクアウトルーム(分室)をつくると、ミュート機能をオン・オフすることなく3~5人の小人数で話しやすくなり、大人数の会議よりも自然な会話ができる。

 ブレイクアウトルームでは、グループごとに特定のタスクやトピックを割り当てると、心理的に安全な空間でアイデアを試し、人間関係を構築することができる。大規模な会議に戻ってきた時も、参加者は比較的安全な空間で自分の考えを試し、共有したことで自信を持ち、小グループで出たアイデアを報告しやすくなる。

 筆者らが主導したあるセッションでは、50の医療センターからリーダー50人が集まり、パンデミックの間に学んだベストプラクティスと教訓を共有した。セッションの中では、5人で構成する10のブレイクアウトルームに参加者を分け、全員が見識を共有する時間を設けた。

 その後、各グループが1つの事例を推薦し、メインルームに戻って発表した。最も洞察に富んだベストプラクティスは、大人数では話すことがほとんどなかった参加者のもので、それは複数の医療機関で採用された。

 ●ビデオ

 人の顔を見ることでエンゲージメントが生まれるが、視覚刺激(顔と背景)が多すぎると気が散り、また帯域幅が低いと視覚的な混乱を招くことがある。これらは、社会的手がかりを読み取る力を妨げ、認知にわずかにストレスを与える可能性がある。

 リーダーは、話している人の顔がセンターになり、他の人が背景になるような表示オプションを奨励するとよい。話にじっくり耳を傾ける時は、音声のみにするほうがよいだろう。

 それとは別に、画面に自分の顔が映っていると自己意識が高まり、心理的安全性が阻害されるおそれがあるので、「セルフビューを非表示」を選択しよう(なにしろ実際の対面の会議で鏡を使うことはないのだから)。

 ●音声のみ

 昔ながらの電話会議のような音声のみの会議は、鋭い注意力を要し、誤って沈黙を同意と解釈しないようにし、全員が確実に参加するようにしなければならない。

 非言語コミュニケーションがないため、「0から10までのスケールで~についてどう思うか」や「この5つの項目をランク付けするとしたら、どれが1位と2位で(中略)どれが最下位?」など、発言するハードルを下げるための質問を投げかけることが、より必要とされる。

 さらに、参加者はマルチタスクをしたくても我慢しなければならない。そしてリーダーは、参加を促すようなインタラクティブでバーチャルセッションになるよう努力しつつ、全神経を集中させるよう参加者に明確に求めよう。