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パンデミックの終息が少しずつ見えてくる中、在宅勤務やリモートワークの強制から解放され、オフィスに戻り始める企業が増えてきた。ただし、無益な慣行やルールまで復活させることは避けるべきだ。パンデミックがもたらした変化の中には、時期を問わずに有益なものも多い。本稿では、そうした変化を特定し、これからも持続するための4つのステップを紹介する。


 ワクチンの出荷や投与が進む中、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが人々の生活やビジネス環境に及ぼす影響は、時間の経過とともに徐々に小さくなるだろう。これは歓迎すべき変化だが、組織はパンデミック前の慣行に完全に戻すことは避けなければならない。

 危機は厳しい制約をもたらした一方で、計り知れないほど多くの実験を行い、新たな慣行を導入するまたとない機会を提供した。なかには、パンデミック下であろうとなかろうと、いかなる時期においても有益なものもある。さらに、危機の発生が変化に対する抵抗感を減らしたことで、組織は平時には手放しにくい、深く根付いた機能不全の慣行を排除することができた。

 多くの企業が、少し前までは考えもしなかったことを実行せざるをえなくなった。企業がデジタルトランスフォーメーションを成功させ、リモートワークを拡大しただけでなく、裁判所はオンラインで判決を下し、医療機関は多くの軽症疾患を遠隔医療に移行し、銀行は顧客に直接会わずに融資を行い、監査法人は会社を訪問せずにバーチャルな企業監査を行うようになった。

 しかし、パンデミックが終息したら、こうした慣行はどうなるのだろうか。「スリーボックス・ソリューション」に関する筆者らの研究で、組織の持続的な変化は、新たな慣行の発見採用だけでなく、変化のきっかけがなくなった時に、マネジャーや従業員が古い習慣に戻らないことが重要であることが示された。

 以下の4つのステップのフレームワークは、リーダーがこの1年に導入された有益な変化を特定し、維持し、持続させるのに役立つものだ。