●境界での学び
パンデミックが発生した時、弁護士だったソフィーは、20年にわたるキャリアから脱却し、さまざまな新しい仕事の可能性を模索したいと考えた。ドキュメンタリー映画の制作、ジャーナリズム、非業務執行取締役、サステナビリティコンサルティングなどだ。
ロックダウンは、ソフィーの仕事上の生活を支配していた通常のルールを一時的に取り除き、あらゆる仕事や余暇の過ごし方を、どれにも縛られることなく試すことのできる境界にある時間と空間、つまり「宙ぶらりん」のゾーンをつくり出した。
ソフィーはこの時期を最大限に活用し、講座を複数受講して、新規事業のアイデアに取り組み、フリーランスのコンサルティングを行い、非営利団体の役員になり、初めての短編映画を2本制作した。
境界の時期を利用して、これまでとは違う人々と一緒に、これまでとは違うことを試すことができる。その結果、自分自身を知り、新しい知識やスキル、リソース、人間関係を育む貴重な機会を得ることができる。
しかし、そうした時期は永遠には続かない。どこかの時点で、私たちは実験的な試みから学んだことを選び取り、それを活用して、知識に基づいたキャリアチェンジの次のステップに踏み出さなければならない。
さらに追求する価値のあるものは何か。確かめる価値のある新たな関心事は何か。それほど魅力的ではないことがわかり、捨てるものは何か。趣味として続けるものは何か。
これを吟味したソフィーは、役員としての役割では思ったほど成長していない一方で、映画業界との有意義なつながりをすぐに築き始めたことを認識し、驚いた。そうしたことは、変化の次のステップに進む前の重要な気づきだった。