エアビーアンドビーは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより旅行制限が不可避だとわかると、ただちに、それが自社に打撃を及ぼすことを回避するための措置を講じた。

 施設の消毒ルールに厳しい基準を導入したり、清掃を徹底するために、宿泊客のチェックアウト後、次の客をチェックインさせるまでに部屋を一晩空室にすることを義務づけたりした。また、キャンセルの受理条件を緩和し、ホストには売上げを補填する仕組みを整えた。

 もちろん、パンデミックの影響をすべて回避できたわけではない。そこで、予約の減少とキャンセルの増加によるダメージを吸収する能力を高めるために、資本を増強した。

 また、事業環境が安定するのを待つことなく、コロナ禍の影響を比較的受けていない分野への進出を加速させた。国内旅行や田舎での長期滞在などがそうだ。ほかにも、長期間にわたって「自己隔離」するための滞在プランを売り込んだり、物件ごとにインターネット接続環境を明記するようにしたりもした。

 これに対して、カリフォルニア・ピザ・キッチンは、ステイホームの指示が発せられた時、それまでの中核事業であるレストラン業態からデリバリー業態に素早く転換することができなかった。その結果、売上げへの直接的な打撃を回避できなかった。

 しかも、長年にわたる経営判断ミスの積み重ねにより、同社は莫大な債務を抱えていたため、コストをまかなうための追加資金調達を思うように行えなかった。レストランが休業に追い込まれたり、限定的な営業を余儀なくされたりしたことで、資金が底を突き始めた。

 こうして、同社は2020年6月には破産申請の手続きに入った。数カ月にわたるリストラクチャリングを経て、2020年11月、主に債権者らが所有する企業として再出発した。これらの債権者らは、債務と株式を交換したのである。

 同社は現在、後れを取り戻すために、「ドント・コール・ミー・チキン・ピザ」(私をチキン・ピザと呼ばないで)といった非動物性たんぱく質を用いたピザをはじめとする、「カリ・ヘルス」と呼ばれるヘルシー志向のメニューに力を入れ始めた。

 加えて、フランチャイズ展開をグローバルに拡大し、マーケティングとデジタルチャネルの強化にも力を入れるようになっている。