●周囲の変化を理解する余地を自分に与える

 周囲の人が会社を去っていくのを見ると、自分も新たな機会を見つけなければならないという衝動に駆られるかもしれない。同僚の離職は、自分が取り残されたという社会的排除の感覚を引き起こす可能性もある。

 心理学者が「感情予測」と呼ぶものを抱くのは、珍しいことではない。つまり、自分も同じようにしなければ、将来後悔するかもしれないと想像するのだ。しかし、慌てて行動を起こす前に、今後どうすべきかを合理的に考える時間を自分に与えよう。

 まず、周囲の離職動向とは関係なく、自分本来の価値観と目標について、一人でじっくり考えることから始める。信頼できるパートナーの助けを借りるのもよいだろう。「ワークライフを考えた時、現在の自分と未来の自分にとって真に重要なことは何か」を自問してみるのだ。

 次に、自分の現在の能力と評判を正確に棚卸しして、理想のワークライフを実現するには、どの領域のスキルを磨く必要があるかを精査する。同時に、自分の価値観と目標が、いまの会社であなたが置かれている役割において、成功だと定義されているものと一致しているかどうかを検証する。

 もしかするとあなたは、会社が求める基準とは別のクライテリア(評価基準)にモチベーションを感じるかもしれない。あるいは、もう少し適応性があれば、現在の勤め先に留まることで充足感を得られることに気づくかもしれない。

 重要なのは、行動を起こす前に、少しばかり忍耐強く内省と観察に取り組むことだ。そうすることで、会社が新規採用者に実行するのと同じように、あなたの成長にも対応し、キャリア形成をサポートしてくれるかどうかを客観的に評価できるだろう。

 ●自身の再オンボーディングプランを練る

 周囲の新規採用者は入社前から、新たな同僚と知識を共有し、会社の文化的規範に馴染むことができるように、同僚との意図的活動から成る継続的なオンボーディングプランを提示されている可能性が高い。

 新規採用者が優れた働きをするための助けになるプレーブックがあるなら、あなたもそれに倣って、自分に再度オンボーディングのプロセスを課すのはどうだろう。そうすれば自分の価値を高め、同僚に対する競争力を維持するための戦略的機会が見えてくるだけでなく、仕事の目的意識を刷新できるかもしれない。