
「大退職時代」(グレート・レジグネーション)の到来で、仕事の意味を問う人はますます増えている。自分のキャリアを見直す中で、部下のマネジメントに情熱を感じられず、現場に戻りたいと思うマネジャーも少なくないだろう。問題は、リーダーシップの役割から離れることが、自分のキャリアを傷つけてしまうリスクだ。管理職を離れることは後退ではなく、自分自身の幸福度や生産性を高めるための前進であり、それが本人にとっても周囲にとっても有益であることを示すのが欠かせない。本稿では、そのために必要な4つの戦略を紹介する。
現代の組織でキャリアアップについて考える際は、昇進しながら次第に大きなチームを率いることを思い浮かべるのが典型だろう。
しかし、自分のキャリアをそれとは違う方向に進めて、上司として部下を管理するのではなく、一個人としてプレーヤーに戻りたいと思うかもしれない。それを聞いて、人事マネジャーや同僚はどう思うだろうか。
「大退職時代」(グレート・レジグネーション)にあって、経験豊富なミドルレベルの社員は、以前より多くの人々がいまの会社を辞めようとしているだけでなく、自分にとって意味のある仕事とは何かをあらためて考えている。
フォレスター・コンサルティングとインディードが最近行った調査は、人々が「グレート・リアライゼーション」(大いなる気づき)を得たことを示唆している。すなわち、仕事の幸せとは何かについて考える時、報酬よりも、自分がエネルギーを感じることや目的意識を持つことを重視するようになったのだ。
あなたがマネジャーになったのは、自分の強みを現場のプロジェクトや技術的問題に適用する幅を広げていくことより、組織の階段を着実に上ることがキャリアの成功につながると考えたからかもしれない。
しかしいまは、自分の部署の問題を直接解決するという自律性や責任感を失い、他者に間接的影響を与えて問題解決を促さなければならない立場に置かれて、情熱が薄れているだろう。
管理職から一社員に戻るという選択は、一歩後退するように思えるかもしれない。しかし、組織にもあなたの個人的な充足感にも、大きな利益をもたらすことができる。
あなたの動機と決断を伝える際は、以下の戦略を考慮して、周囲の認識にあなたの幸せと将来の成功がじゃまされないようにしたい。