従業員の成功に求められること、必要とされること
当然ながら、会社を辞めないよう従業員を説得することは、必要最低限の努力にすぎない。2021年に最もよく読まれた論考のうち3つは、従業員が会社に留まるだけでなく、成功するためには何が必要かを探るものだ。
「仕事や会社に対する従業員の期待はどう変わるのか」は、従業員が求めているのは、柔軟性のある働き方、多様なチームで働くこと、そして仕事の量ではなく自分がもたらした価値に基づく評価方法であることをデータで示し、論じている。
また、「従業員は働き方の柔軟性だけでなく自律性を求めている」では、「柔軟性を求めている」という従業員の真意を探り、ハイブリッドワークが進む中、実際には自律性が求められていることを指摘した。
そのうえで、企業が従業員の自律性を認めるには、方針ではなく原則を定めること、従業員の能力開発に投資し帰属意識を高めること、従業員がどこにいても自律的に働けるように必要なツールを与えることを提案する。
同様に、「従業員の能力をいかなる時でも最大限引き出す方法」の筆者らは、米国の労働者1万4000人以上を対象に行った調査結果に基づき、能力を最大限発揮しようとする従業員を、組織が最善の方法で支援するためのプラクティスと文化規範を特定している。
調査結果の分析から、組織が従業員の能力を最大限引き出すには、従業員に対する期待を明確にする、積極的な質問を歓迎する、仕事のやり方に関するルールを増やしすぎない、創意工夫して問題解決にあたることを支援する、功績に応じて報酬を与える、従業員の感情に気づく、明確な目的意識を与えることが必要だと示された。