職場を改善するヒントやコツ
『ハーバード・ビジネス・レビュー』の読者は、マネジャーと従業員が日々の仕事を改善するために、戦術的かつ研究結果の裏付けがあるヒントやコツにも強い関心を示していた。
「誰も望んでいない会議をなぜやめられないのか」は、必要以上に会議を設定したり、出席したりする要因になる6つの心理的な落とし穴を解説し、それらを克服するための戦略を提案した。
たとえば「多元的無知」として知られる現象は、誰もがその会議は時間の無駄だと思っているにもかかわらず、そのように考えているのは自分だけだと思い込んでしまう状況を引き起こす。このバイアスに対処するには、リーダーが積極的に従業員のフィードバックを求め、そのフィードバックに基づき非生産的な会議を特定し、排除する習慣をつくることだと、この論考の筆者らは主張する。
このような会議依存は昔からある問題だが、コロナ禍を通して特に状況が悪化した職場の問題も多い。たとえば業績に打撃を受けた組織では、大きな資金を投じることなく、従業員のモチベーションを高める方法を模索しているかもしれない。
「小さな感謝には、生産性や士気を高める大きな効果がある」の筆者らは、感謝の気持ちを伝える手紙やカード、小さな贈り物、公の場での評価のような象徴的報酬は、金銭的報酬を補う、あるいは金銭的報酬の代わりになり、従業員のモチベーションを高めるうえで有効な選択肢であることを見出した。
企業が象徴的報酬によるインパクトを最大化するためには、メッセージを伝えるのに最適な人物を選ぶとともに、メッセージを発信するタイミングを図ること、公の場で評価すること、細部に気を配ること、そして小さな取り組みから始めることが効果を発揮すると筆者らは提唱する。
限られたリソースと新たなワークモデルは、多くの従業員にインフォーマルリーダーとして付加的な役割を担うことを強いてきた。このことはプロフェッショナルとしての能力を開発する貴重な機会になりうるが、上司の適切なサポートがなければ従業員のエネルギーレベルは低下し、パフォーマンスを損なうおそれがあると、「インフォーマルリーダーシップの機会を成長の原動力に変える方法」は指摘する。
このような悪影響を最小限に抑えるには、マネジャーがリーダーシップに関するコーチングを行いながら自分の期待をはっきりと伝え、インフォーマルリーダー同士の間に健全なパイプラインを構築し、特定の従業員に責任が集中する事態を回避すべきだと、筆者らは主張する。
また、バーンアウト(燃え尽き)の問題を認識して深刻化を防ぐためにも、インフォーマルリーダー自身が自分のエネルギーレベルを積極的に観察し、エネルギーレベルが低下しないように保護することを奨励している。