●泣いた後のフォローアップに注力する
新近性効果とは、最後に与えられた情報が最も記憶に残りやすいという心理効果を指す。そのため、職場で泣いた後に自分の評判を維持したい、もしくは回復したい場合は、その直後のやり取りでポジティブな印象をつくることに力を注ぐことが欠かせない。自分の発言を解決策に集中させて、常に前向きさを保つ。
たとえば、次のように発言できるだろう。
・私たちの間に築いてきた仕事上の人間関係を私は本当に大切に思っていて、このプロジェクトを成功させたいと考えています。今後どのように進めていくか議論して合意に至るために、次はいつ集まることができますか。
・今日はフィードバックをいただき、ありがとうございました。あなたが共有してくれたことすべてに感謝し、話し合った内容を実行に移すためのアクションステップに取り組んでいるところです。
・会社の優先事項の変更から生じた重圧に圧倒されて、今日は強い反応をしてしまいました。私のやるべき仕事は何か、一緒に見直していただき、人に任せられることや当面やらなくてもよいことは何かを決めたいと思っています。
同様に、次の成果物に向けていっそうの努力をする。目標水準を上回る結果を出すことで、あなたにはレジリエンス、能力、コミットメントがあることを見せるのだ。
●次への備えをあらかじめ用意しておく
不意を突かれ、その瞬間に自分の感情をどう処理すべきかわからなかった結果として、泣くことは多い。自分にはHSPの傾向があると思っている人は、なおさらだろう。だからこそ感情が優勢になる前に、感情を押し流す戦略で準備することが重要だ。
呼吸をコントロールすることで、涙を流さずに落ち着くことができる。ストレスの多いやり取りの前後やその最中に、ボックスブリージング(4秒息を吸って、4秒息を止めて、4秒息を吐き、4秒息を止める呼吸法)を試してほしい。これは、米海軍特殊部隊のネイビーシールズが用いる呼吸法である。
また、冷水をコップに入れて手元に置いておくのもよい。涙が出そうになって体温が上がる(そして恐怖反応が出る)のを感じたら、その水を飲み、喉の声門と呼ばれる部分を冷やすのだ。手の中の小さなもの、たとえばストレスボールやメダル、ペンなどに不安の対象を移すこともできる。
●必要に応じて、専門家の助けを借りる
時折、職場で涙を流すことは異常ではない。しかし、自分が職場で頻繁に泣いていることに気づいたら、セラピストの助けを求めるのが賢い選択だろう。涙を流す原因がいじめやその他の不当な扱いならば、しかるべき人々を巻き込む必要がある。いまの職場環境が、自分の成長や精神的ウェルビーイングを支えるうえで最善かどうか、じっくりと時間をかけて評価しよう。
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人間は感情の生き物であることを忘れないでほしい。あなたが偉大なリーダーになれるかどうかは、感情的な反応をした後で、どのような対応やコミュニケーションを選択するかにかかっている。自分の感情や反応に対して責任ある行動を取れば、相手が敬うような強さや自信を見せることができるはずだ。





