●協働する時間について再考する

 チームワークを要する複雑なタスクに取り組む場合、いつ、何時間働くかを従業員自身が決めるといった完全な柔軟性を提供することは、現実的に不可能である。とはいえ、全員がオフィスに出社し、標準的な勤務時間の範囲で仕事をするという以前の状況に戻そうとしても、うまくはいかないだろう。

 したがって、マネジャーはプロジェクトの要件やスケジュールについて、これまでとは異なる発想を持ち、深く掘り下げて考える必要がある。

 プロジェクト型のワークフローでは、それぞれのタスクとタイムラインを念入りに計画し、プロジェクトの重要な局面(たとえば、キックオフ、中間地点、最終段階)には他の業務を入れないように、あらかじめ従業員に要請するとよい。

 予測の立ちにくいワークフローの場合、全員が集中的に作業する日程をカレンダーに組み込む。たとえば、毎月第2週目は午前10時から午後5時までの決められた時間に働くことを従業員に求めて、それ以外の週は週40時間(プラスマイナス10時間)の配分を従業員自身が自由に決めるなどのやり方が考えられる。

 特にメンバーが複数のプロジェクトに関与している時は、このように集中的に作業する期間を組み込んでおくことで、プロセスロスやプロジェクトの再開コストを大幅に減らすことができる。

 ●協働するチームについて再考する

 従業員が同じ時間、同じ場所で働くことが少ない職場では、チーム構成を見直す必要もあるかもしれない。大規模なチームを相互のつながりが強固な複数の小規模なチームに再編し、小さなチームそれぞれが決定権を持つようにするのだ。小規模なチームをつくることで柔軟性と適応性が向上する。

 たとえば、9人のチームを3人ずつ、3チームに再編すれば、各チームが決定権を持ち、仕事を調整しやすくなる。言い換えると、縦の調整を行う(マネジャーはプロジェクトを完遂する方法を考え、従業員のリクエストを調整する)代わりに、チーム同士の横の調整を行う(チームはプロジェクト内で自分たちの担当パートを完遂する方法を考え、チーム間でリクエストを調整する)とよいだろう。

 チームの構成を見直すことで、マネジャーの調整コストを減らし、最も融通の利く従業員に仕事が集中する事態も避けられる。従業員にすれば、大規模なチームの全メンバーに都合を尋ねる必要がなくなり、数人の都合を調整するだけでよい。

 また、集団の一員として共同作業を行う際、個人で作業する時よりも手を抜く「ソーシャルローフィング」(社会的手抜き)が起きやすいが、集団の規模を小さくすれば手抜きを防ぎやすくなる。分散型チームの場合、懸命に働く(少なくともそのように見せる)ことに対する社会的圧力が弱まりがちなので、チームの再編が特に重要だ。