●従業員に力を与えて、結び付け、士気を高める
部下に思いやりを示し続けると言っても、中間管理職がすべてを解決する必要はない。彼らの自助努力につながるツールを提供しよう。
最近の研究で明らかにされたように、従業員が思いやりを必要とする際に問題となるのは、彼ら自身が自分に何が起きているのか気づいていないという「見えない敵」の存在だ。繰り返しになるが、それを解決する第一歩は、データによって力を与えることだ。
ある大手保険会社では、マイクロソフト・チームズなどのデジタルプラットフォーム上において、人々の行動を測定するデータ分析ツールを使っている。分析結果は本人のフィードに表示され、コミュニティを豊かにするために、あるいはみずからのウェルビーイングを促進するために、何ができるかを理解し、視覚化する手助けとなっている。
たとえば、あるオンラインコミュニティへの参加率が低下していることが統計により判明したら、アドバイスをポップアップで表示して、時間を見つけてログインし、誰かが助けを必要としていないか確認したり、自分から質問したりするよう促すこともできるだろう。
ただし、データは解決策の一部にすぎない。中間管理職にできるもう一つのことは、従業員の人脈づくりを手助けして、ネットワークの充実を支援することだ。
この2年あまりで、従業員のネットワークが著しく縮小しているだけではない。筆者らが協働している多くの企業では、若手従業員の最大30%が2年以内に入社しているため、直接会ったことがない同僚もいる。これは、従業員のサポートという観点からすると理想的ではないが、ポジティブに捉えれば、現場の従業員同士がつながるための投資がこれまで以上に価値を持つとも言える。
健全なネットワークを構築する(あるいは構築しやすくする)方法については、優れたリソースがある。重要なのは、その取り組みの価値を従業員に理解させることだ。このような投資の初期費用は、長期的なメリットによって相殺される。健全なネットワークがあれば、従業員は自分の問題に対処するためにさまざまなリソースを活用することができ、その結果、将来的に中間管理職の負担が軽減されるだろう。