
イノベーションフレームワーク
「SMRT」をどう活用するか
あなたの会社では、どのようにして社内のイノベーターを見つけ出し、エンパワーしているだろうか。
筆者らは合わせて40年以上にわたり、この問いについて探求を続けてきた。イノベーションスタイルに関する研究では、イノベーションを追求する際の人々のさまざまな嗜好や役割を特定し、検証している。組織は、この概念を理解することで、特定の人材が必要とされる場所や協働すべき人材を特定し、新たなブレークスルーアイデアを生み出すことができる。
筆者らの最新の研究は、2006年10月~2021年1月の間に、可能な限り多くの組織の多くの人々から収集したデータを基にしている。10万人以上(正確には11万2497人で、男女比はほぼ同じ)がこれに応じ、筆者らは現在もデータを集め続けている。
回答者は84カ国から集まり、マイクロソフト、アルセロール・ミタル、ボストン交響楽団、米航空宇宙局(NASA)、ユナイテッド・ウェイ、ハーバード大学(さらには『ハーバード・ビジネス・レビュー』も)など、さまざまな企業や産業で働いている。
回答者には、問題を解決する際に好むことや得意なこと、さらに嫌いなことや苦手なことを答えてもらった。そして、それらの回答結果から、4つのユニークなイノベーションスタイルのうち、その人物の嗜好に当てはまるタイプを明らかにした。それぞれのスタイルは、4段階からなるイノベーションプロセスにおいて、異なるフェーズにマッピングされる。
4つのスタイルはそれぞれ、組織において果たすべき役割を担っている。すなわち、新たな問題を発見する「ジェネレーター」、問題を徹底的に定義する「コンセプチュアライザー」、アイデアを評価してソリューションを選択する「オプティマイザー」、そして選択したソリューションを実行する「インプリメンター」だ。
イノベーションには、この4つのスタイルがすべて必要だ。組織は、どの従業員がどのスタイルに当てはまるかを理解することで、イノベーションの取り組みをより効果的に管理することができる。
しかし、筆者らの経験では、ほとんどの組織でいくつかのイノベーションのスタイル、特にジェネレーターが欠けている。本稿では、この欠点を克服するためのステップを紹介したい。