4タイプのイノベーションスタイルの定義

ジェネレーター

 ジェネレーターは、自分の直接的な経験に基づいて新たな問題を発見し、観念化する。現実の世界に触れ、実際に関わることで、未解決のギャップや矛盾、つまり機会や可能性として対処する価値がありそうな問題に気づく。

 しかし、ジェネレーターはこれらの問題を高いレベルで発見するだけで、必ずしも問題の詳細や潜在的なソリューションを明確に理解することに関心があるとは限らない。

 組織のすべてのレベルにおいて、ジェネレーターは稀有な存在だ。筆者らの調査によると、サンプルの中でジェネレーターが占める割合は、わずか17%だった。エグゼクティブマネジャーで19%、ミドルマネジャーで18%、スーパーバイザーで15%、そして非管理職では16%だ。

 つまり、リーダーが意図的にチームに加えようとしない限り、ジェネレーターが誰一人いない状況になりうる。ジェネレーターは周囲に対する洞察力に優れ、機会を生み出し、それを拡大していく。したがって、ジェネレーターがいなければ、組織は貴重な変化の機会を逃す可能性が高くなってしまう。集団における認知的多様性の重要性を考えると、イノベーションのパフォーマンスを低下させるおそれがある、ということだ。

 他の職種に比べて、ジェネレーターが多くの割合を占める職種もある。学校の教師(56%)、学者(38%)、アーティスト(34%)は、ジェネレーターの割合が高く、エンジニアリング(8%)、戦略立案(9%)、製造(9%)で割合が低い。このことは、特定の分野の特定のチームでは、ジェネレーター不足を痛感している可能性があることを意味する。たとえば、4人で構成される戦略立案部門のチームには、71%の確率でジェネレーターが存在しないことになる。

コンセプチュアライザー

 コンセプチュアライザーは、問題を定義し、直接的な経験ではなく抽象的な分析によって、それを理解することを好む。ジェネレーター同様、観念化することを好むが、ジェネレーターとは対照的に、問題を明確にモデル化し、さまざまな要素、関係性、見識を統合し、一つまたは複数のソリューションの基礎として使用することを好む。

 コンセプチュアライザーは2番目に稀有なイノベーションスタイルで、調査の対象となったサンプルのうち、わずか19%だ。その割合は、非管理職で17%、スーパーバイザーで18%、ミドルマネジャーで17%と、ほとんどの職務レベルで比較的均等である。

 しかし、エグゼクティブでは25%と、コンセプチュアライザーの割合が高くなる。これは、エグゼクティブマネジャーが目の前の戦術的なタスクを実行するよりも、遠く先にある目標に向けて戦略的な立案に取り組まなければならないため、その役割に特有の認知的要求が反映されていると考えられる。

 コンセプチュアライザーは、組織開発(61%)、戦略立案(57%)、市場調査(52%)など、問題の定義を理解することが不可欠な職種に多い。逆に、オペレーション(7%)、テクニカルサポート(11%)、プロジェクトマネジメント(13%)では少ない。