体系化する
マネジャーとチームが、複雑で明確に定義されていない問題を解決しようとする時、潜在的なソリューションに大きな相違があるために、行き詰まる傾向がある。
イノベーションプロセスのどの段階で、この相違に直面しているかを、マネジャーが正確に突き止めることができれば、ソリューションに必要な人材をある程度理解できるかもしれない。だが、マネジャーがそうできることはめったにないため、そもそも、このような状況に適したチーム構造が存在しないのが現状だ。
イノベーションを促進させるためにマネジャーがまず考えるべきは、「イノベーションプロセスのどの段階で、チームは行き詰まるのか」ということだ。次に、マネジャーはその段階で必要とされるが欠けているイノベーションスタイルを特定し、増強させる必要がある。
たとえば、グーグルのハッカソンではフィールド実験の間、アジャイルのプラクティスがイノベーションを阻害することを筆者らは発見した。それによって、チームがイノベーションプロセスにおけるアイデアの生成段階ではなく、実行段階にフォーカスすることになるからだ。
このような状況では、意図的にジェネレーターを特定し、その貢献を増幅させることが組織にとって有益になることがある。ジェネレーターがいない場合には、他のチームメンバーにジェネレーターとしての役割を演じてもらうこともできるだろう。
最適化や実行に苦労しているチームであっても、イノベーションが妨げられるとは限らない。米国の大手医療保険会社の戦略開発チームを例に挙げよう。
戦略開発チームは、経営陣に新しい企業戦略を提案することを命じられたが、最終的な提案に合意することができず、分析麻痺に陥っていた。新しい戦略を提案しようとするたびに、誰かが新しい情報を考慮に入れたり、より包括的な戦略にしたりするための修正を要求していた。
筆者らが、このチームの構成を分析したところ、インプリメンターである管理スタッフ一人を除き、全員がコンセプチュアライザーであることがわかった。このチームの場合、完璧な理解を目指すのではなく、最適化と実行を好む人々を加えることで、メンバーの多様化を図り、経営陣に受け入れられる戦略に辿り着くことができた。