
企業と個人の価値観を一致させる
ここ数年の技術的、経済的、文化的変化によって、事業環境が目まぐるしく変わり、企業に対する社会の目も厳しさを増しています。時代の変化に適応するには何が必要なのでしょうか。そこで注目したのが、今号の特集「『価値観』の力」です。
価値観(バリュー)とは、日々の判断や行動の基軸となるものです。組織の価値観を磨き上げ、そのぶれない軸をつくることで、現場から経営までの意思決定のスピードを上げ、環境変化に適応することができます。
特集1本目の論文「組織と従業員の『価値観』を一致させ、持続的な成長を実現する」は、組織と従業員の価値観が重なり合うことで、組織はあらゆる恩恵を受けられると説きます。そのための5つのステップを紹介します。
特集2本目は「自社の価値観を脅かす政治リスクに対応する方法」です。価値観がしっかりあっても、ウォルト・ディズニーやH&Mは政治絡みの問題に巻き込まれ、大きな損失を被りました。その対応策を解説します。
特集3本目は「企業の歴史を変革の原動力にする4つのステップ」です。創業当時の理念や精神を学ぶことで、戦略が洗練され、従業員のモチベーションも高められます。企業変革には、その歴史の取捨選択が欠かせません。
特集4本目は、慶應義塾大学総合政策学部の琴坂将広准教授と、オックスフォード大学のジョナサン・トレバー准教授による論考「コーポレートバリュー・アラインメント:企業に根源的価値観を実装する方法」です。ミッション、ビジョン、バリュー等を整理したうえで、日産自動車や日本政策投資銀行などで培った知見から、コーポレートバリューの導入策を示します。
特集5本目はオリンパスの竹内康雄社長兼CEOへのインタビューです。竹内社長は、粉飾決算事件を乗り越え、社内のグローバル化を進め、過去最高益を実現しました。「オリンパスの変革には存在意義を問い直すことが不可欠だった」という真意に迫ります。
このように、今号は自社の価値観を見つめ直す機会になるでしょう。価値観というぶれない軸を拠り所にすることで、激動の時代を乗り越えることができるはずです。
ぜひご一読ください。
(編集長 小島健志)