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先進企業はなぜDEIを大事にするのか
今月発売号の第1特集は「DEI経営の実践」です。競争力のある企業は、ダイバーシティ(D:多様性)だけでなく、エクイティ(E:公正)とインクルージョン(I:包摂)を重視する傾向にあります。DEIがイノベーション創出や人材獲得、定着に有効だといわれているからです。先進企業の事例からDEIの本質を考察します。
特集1本目「経営戦略としてのDE&I」はEY Japanの貴田守亮氏が、自身のマイノリティ経験をもとに、企業でDEIを推進するためのロードマップについて論じます。日本企業には、同調圧力に屈しない個の存在とそれを受け入れる組織文化が必要です。
特集2本目は「DEIを推進する企業は4つの『自由』を追求すべきである」です。従業員が本当の自分でいることも、あえて周囲に埋没することもできる。そのような職場環境があることで、従業員は真の力を発揮できます。
特集3本目は、ムーディーズ・インベスターズ・サービスやグーグルで活躍した人事担当幹部へのインタビュー「DEIの実現を阻むものは何か」です。予算の削減や注目度が下がった時にこそ、DEI推進への本気度が問われます。
特集4本目は「フィードバックと多様性:従業員の本音を引き出し、組織に活かす」です。『異文化理解力』を著したINSEAD教授のエリン・メイヤーによると、多様性が高いほど率直なフィードバックが組織に思わぬ軋轢を生みます。文化、ジェンダー、世代から効果的なフィードバックについて考察します。
特集5本目は「ジョンソン・エンド・ジョンソンはクレドーを羅針盤にDE&Iを推進する」です。日本法人グループの人事統括責任者である関根祐治氏へのインタビューから、DEI先進企業であるジョンソン・エンド・ジョンソンには、クレドー(信条)を核に対話を続ける仕組みがあるとわかります。
特集6本目の「障害者が中心となって働く会社:ビティ・アンド・ボウズ・コーヒーの挑戦」では、2人のダウン症児を持つ夫婦が創業したコーヒー店のケースが活きいきと描かれます。将来、日本で展開する日が来るのかもしれません。
先進企業がDEIを重視するのは、多様な人材が衝突を繰り返しながらも、対話を重ねることで、その目的に向かって前進できることがわかっているからでしょう。組織文化を変えるのは長い時間がかかりますが、そうした対話の積み重ねから新たなリーダーが生まれ、会社が変わり、競争力につながっていくのです。
第2特集は「従業員の『不安』に対処する」です。コロナ禍以降、従業員のメンタルヘルスの問題が顕在化しています。「心の不調を抱える従業員を支援する方法」、「『他者からどう見られるか』という不安がパフォーマンスを低下させる」、「マネジャーは不安ゆえにマイクロマネジメントに陥る」という3つの論考から、その対策を述べます。
電子版サービスの開始により、雑誌の定期購読者でない方も、各種論文が手軽に読めるようになりました。充実の2特集です。ぜひご覧ください。
(編集長 小島健志)