経済の基本単位は国家から「メガ地域」へ

 国家はこれまで、基本的な経済単位とされてきた。しかしこのような認識は、もはや正しいとは言いがたい。今日のグローバル経済にあっては、またその原動力となっているのは、「メガ地域(リージョン)」という単位である。

 メガ地域とは、大都市とその周辺都市で構成される「巨大連担都市圏」であり、時には国境を超えて広がり、貿易、交通、イノベーションの一大圏として発展し、優れた人材が多数集まってくる。

 グローバル経済はいま、数十のメガ地域を中心に成り立っている。たとえば、ボストンから、ニューヨーク、ワシントンDC一帯のメガロポリス、上海と南京、杭州を結ぶ三角地帯、あるいはロンドンからリーズ、マンチェスター、リバプール、バーミンガムへとつながる一帯など、これらメガ地域が世界の経済活動とイノベーションの大半を担っている。

 メガ地域の経済活動について包括的なデータはないが、大まかに把握することは可能である。

 メリーランド大学の国際・安全保障問題研究センターのティム・ギルデンは、夜間時に地球を撮影した衛星写真を使い、明かりが連なって見える地域を特定した。夜のイルミネーションはエネルギー消費を示しており、エネルギー消費はまさしく経済活動を表している。

 次に、このデータを、国家とこれらメガ地域の経済生産高(概算値)と対応させ、各メガ地域について年間経済生産性(生産された財およびサービスの総価値)を金額ベースで推定した。この測定基準を「LRP」(light-based regional product:夜の明かりから見た地域生産高)と呼ぶ。

 ギルデンによれば、メガ地域は次の2つの基準を満たしていなければならない。

 まず、少なくとも一つの大都市圏とその他の大都市を含んでおり、途切れることなく明かりが灯っている地域でなければならない。第2に、LRPが1000億ドルを超えていなければならない。この2つの定義に照らすと、世界には40のメガ地域が存在する。