-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
歴史に残る2008年9月15日
現代金融の始まりが1980年代──この時代、ウォールストリートでは「ライアーズ・ポーカー[注1]」が跋扈し、イギリスのシティでは「ビッグ・バン」が起こった──とすれば、その終わりは、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが破綻した2008年9月15日といえるだろう。そして7年前の9.11に代わって、この9.15がウォールストリート史上最悪の日となった。
わずか19日間で、リーマン・ブラザーズの消滅も含め、一つの時代の終わりを告げる出来事が7件も起こった。
最初の事件は9月7日だった。この日、連邦住宅抵当公庫(ファニー・メイ)と連邦住宅金融抵当金庫(フレディ・マック)が国有化された。
9月14日、バンク・オブ・アメリカがメリルリンチの買収を発表した。
9月16日には、リーマン・ブラザーズから購入した無担保コマーシャル・ペーパー(CP)の損失により、アメリカ最古のマネー・マーケット・ファンド(MMF:公社債を中心とした投資信託)であるリザーブ・ファンズの〈リザーブ・プライマリー・ファンド〉が額面割れ(1口当たり純資産価値が1ドルを下回ること)になった。
また同日、FRB(連邦準備制度理事会)は、巨大保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に850億ドルを融資することを了承した。これは、AIGが銀行向けに販売したCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を保証できなくなれば、破滅的な連鎖反応が生じかねないことから、これを回避するために講じられた措置だった。なおこのケースでは、FRBが、AIG株式の79.9%相当のワラント(新株引き受け権)を取得し、同社を国有化した。
9月22日には、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが銀行持ち株会社に移行したことで、いわゆる投資銀行という存在は消滅した。
最後に、9月25日、OTS(貯蓄機関監督局)がワシントン・ミューチュアル銀行の資産を差し押さえ、破産管財人に指名されたFDIC(連邦預金保険公社)の管理下に置かれた。これは、アメリカ史上最大の銀行破綻となった。