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不況の陰に隠された危機
経済のグローバル化により、需要は依然増え続けているが、国際輸送網がこれを支え切れなくなっている。その結果、危機的状況が招かれている。
危機だって。需要は冷え込んでおり、保護貿易主義が台頭しつつある。また、世界中の商品流通が停滞している。このような時に、輸送力が深刻な不足に陥っているとは、いったい全体どういうことか。コンテナ船はドックに入り、鉄道会社も運送会社も従業員を解雇している。実際、アメリカ政府は景気刺激策として、数十億ドルもの予算を投じて交通インフラの整備を進めているではないか──。
いま申し上げた危機が、昨今の不況の陰に隠れている。しかし、景気が回復し、不況前の状況に戻れば、インフラのキャパシティ不足が原油高と相まって、国際貿易の足を引っ張り、コストを押し上げるであろう。
アメリカの景気対策は、手っ取り早く雇用を創出する公共建設工事(ショベル・レディ・プロジェクト)に的を絞っているため、やがて橋は改修され、道路も再舗装されるはずである。しかし、輸送キャパシティの問題は脇に置かれてしまいそうだ。
この問題の大きさと、これがわが身に降りかかりつつあることに気づいている経営者はほとんどいない。輸送コストを削減し、ロジスティックスを強化して、ライバルより優位に立つために、すでに先行投資を始めている経営者となると、さらに少ない。それでも、この来るべき危機に賢く対処してライバルの裏をかくには、まずこの問題を理解する必要がある。