経済・政治・社会の圧力下で問われる真のリーダーシップとは
Michael Blann/Getty Images
サマリー:リーダーたちは、経済・政治・技術・社会のプレッシャーが重なる中で、日常の意思決定においても価値観や誠実さを問われている。本稿では、不安定な環境下での難しい局面に関する4つのパターンを整理し、リーダーが真正性を保つための実践的な示唆を提示する。

いまの時代、真のリーダーシップとは何か

 リーダーシップには、常に難しい選択が伴うものだ。そしていま、その選択は、重なり合っていたり、相反したりするプレッシャー(経済の不透明性技術の進歩世間の目など)によって形成されることが増えている。一つの決定が戦略面だけでなく人的な面や評判にも影響を及ぼし、仕事上の判断と個人的な責任の境界が曖昧になっている。

 こうしたプレッシャーが高まる中、重要な問いが明らかになってきた。決定が戦略的なだけでなく、世間の目にさらされたり、道徳的意味合いを持つようになったりしたいま、真のリーダーシップとはどのようなものか、だ。

 筆者らは2025年秋、この問いの答えを探り始めた。非営利団体と地域リーダー計300人にアンケート調査を行うとともに、世界の非営利団体や社会的インパクト団体のリーダー計100人以上に、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)のライブオンライン教室に集まってもらった。

 ミッション主導の組織のリーダーに焦点を絞ることにしたのは、筆者らが一緒に仕事をする中で、非営利団体や社会的インパクト団体の幹部の多くが、それぞれに困難な環境で奮闘していることに気づいたからだ。彼らのミッションの中心を成す問題(とりわけ人種、ジェンダー、サステナビリティ)は、世論や政治的議論の的になることが増えてきた。そのような中で、日常的な戦略や資金に関する決定が、組織の価値観やリーダーが体現することの表明と受け止められるようになってきた。

 オンライン会議のファシリテーターを務めたHBSのラクシュミ・ラマラジャン教授は、プロフェッショナルのアイデンティティ意識や管理方法を研究しており、この問題について次のように指摘している。「この分野のリーダーたちは、リソースが減り、二極化が進み、チームの緊張が高まる中、ステークホルダーからだけでなく、自分自身からも大きなプレッシャーを感じている。彼らが直面しているトレードオフは、単に戦術的なものではなく、彼らのアイデンティティや価値観やコミットメントを反映している」。リーダーたちは、極めて個人的な注目を感じると述べており、プレッシャー下で真摯な姿勢を維持する方法を理解するうえで有益な視点をもたらしてくれる。

研究からわかったこと

 アンケート調査や教室でのディスカッションから、リーダーたちは「周囲の環境がどんどん変化する(ほとんど前触れがないこともある)中、自分の価値観とリーダーシップ・アプローチを維持する」という、共通する緊張を経験していることがわかった。これは組織の所在地や活動領域や規模を問わずいえることだった。