海外で活躍する人材の
コンピテンシー
コンピテンシーの考え方を活用すれば、どのような人材が海外で活躍できそうか、見極めることもできる。例えばヘイグループが最近行った欧米グローバル企業の新興国に派遣する幹部に関する調査・研究では、5つのファクターが浮かび上がってきた。
1つ目は、環境の観察力(Observing Environment)。周りの状況をよく観察し、現地で物事がどのように動いているかを積極的に理解する能力・資質。自らの前提を疑い、必要であればゼロからスタートする心構え。
2つ目は、謙虚さと柔軟さ(Humility and Flexibility)。オープンなマインドを持ち、通常であれば自分がしないようなことであっても、現地のやり方についてアドバイスに耳を傾け、必要に応じて従う。
3つ目は、分析力(Analytical Thinking)。自分の行動が、長期的な観点でどのような影響、意味合いを持つか、考慮する。
4つ目は、影響力(Influencing)。文化的な差異に配慮しつつ、現地の物事のやり方に挑戦し、影響を与える。現地のビジネスの目的を達成するために、本社も動かす。
5つ目は、自他の育成力(Developing Others/Self)。駐在の機会を、自分だけでなく、現地人材の学びの機会として捉える。腰かけ外国人のメンタリティーから脱却し、現時人材の育成、スキル向上に時間を投資する。自分の帰国後は、現地人材が後継者となれることを目指す。
この調査・研究は、欧米グローバル企業が対象であるが、幹部の海外派遣に向けた選抜や育成へのこれらの結果の活用も始まっている。翻って、日本企業はどうであろう。そこまでの取組みをしている企業は、ごく限定的というのが現状ではなかろうか。