日常の仕事の中から解決すべき問題をその都度発見し、試行錯誤を通じて問題を解決し続ける発見型改善は、長期的には他社との差別化につながって、企業の持続的競争優位を確立することができます。
しかし、実際に活動を長期間継続し、成果を出すまでには、様々な難しさがあるのも事実です。特に、現場で改善活動の陣頭指揮をとるミドル・マネジャーにとっては、具体的にどのように活動を推進していけばよいのか、頭を悩ますことがたくさんあります。それでは、このような発見型改善を推進し長期間継続するために、ミドル・マネジャーはどのような役割を演じれば良いのでしょうか。
ミドル・マネジャーはどのような機能を担うのか?
改善活動を推進するミドル・マネジャーの役割について考える前に、そもそもミドル・マネジャーとは、組織の中でどのような機能を担う立場にあるのか整理しておきたいと思います。実際に、ミドル・マネジャーが担う機能については、諸説あるのですが、ここでは、経営側の論理と従業員側の論理という相異なる2つの論理の間の矛盾・コンフリクトを調整する機能を考えたいと思います。
改善活動の実施局面を考えると、現場の従業員が改善活動に参加することは、従業員自身にとってメリットをもたらすだけでなく、場合によってはデメリットももたらします。しかし、従業員のデメリットを放置し続け、短期的な経営成果だけを追求していたのでは、現場にやらされ感が蔓延してしまい、活動の継続が困難になります。ただ、経営として改善活動を行っている以上、従業員のメリットだけを追求していたのでは、慈善事業になってしまいます。
このように考えると、改善活動を実施する際には、絶えず経営側の論理と従業員側の論理がせめぎ合っており、この2つの論理のせめぎ合いをどう調整・解消していくかということが、活動の継続において極めて重要になります。改善活動を推進するミドル・マネジャーは、経営側の論理を理解し、長期的な経営成果の獲得を目指して、改善活動を一定の方向に導きながら、いかに従業員の参加メリットを高め、デメリットを抑制するかを考えなければなりません。ミドル・マネジャーが果たす役割如何によって、改善活動に対する従業員の参画度合いが変わり、改善活動の継続が左右されると考えられます。