思いが伝わる、心が動く、スピーチのポイント
これまで、この4回の連載を通じて、どうすれば、内なる動機を刺激して、思わず動きたくなる、協力したくなるようなスピーチを行うことができるかについて解説してきました。大切な点をもう一度ここで、整理したいと思います。
●聴き手に対して、ロジカルに話をするだけではダメ。エモーションを揺さぶり、トラストを感じさせることができて、初めて人は自らの意志で動こうとする。
●聴き手を思いやった明確なメッセージを届ける。そのためには、相手を知ることが必要であり、場の要請と聴き手の期待を深く理解することが大切である。
●メッセージを効果的に届けるために、オープニング、ボディ、クロージングの三部構成でスピーチを構成することが効果的。オープニングで聴き手とつながり、ボディではシンプルな構成で主張を支え、クロージングでメッセージを心に焼き付ける。
●情景や心理をありありと描いた、ストーリーを盛り込むことで、聴き手の感情を揺さぶる効果が得られる。自分だけの経験談と学びを、腹を割って話すことで、聴き手に人となりを理解してもらい、信頼の基盤を作ることもできる。経験談は、事件→葛藤→解決→教訓の流れで話すのが効果的。
●ビジョンを描くことで、聴き手に取り組むことの意図と、その先の姿を伝えることができる。そうすることで、人は心を奮い立たせ、やる気を持って物事に取り組むことができるようになる。ビジョンは、注目→必要性→解決策→視覚化→アクションという、アラン・モンローの説得技法の流れで話すのが効果的。
今日は、クリスマス・イブ。心を込めて、最終回を皆さんにお届け致します。4回にわたってお付き合いいただいたことに、心より感謝致します。皆さんが、スピーチの力をさらに磨き上げ、この国のより良い未来づくりをリードしてくださることを願っています。
愛と勇気と感謝を込めて。
(了)
【連載バックナンバー】
第1回 勇気を出して、思いを語れ
第2回 オリンピック東京誘致、チームジャパン成功の秘訣
第3回 心を揺さぶり、信頼を感じさせる、ストーリーの語り方
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