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津坂美樹氏:BCGシニア・パートナー&マネージング・ディレクター。ハーバード大学政治学部および東アジア研究学部卒業。同大学経営学修士(MBA)。BCG ニューヨークオフィスを経て現在に至る。BCG グローバル・エグゼクティブ・コミッティ(経営会議)メンバー、マーケティングのグローバルリーダー。
津坂美樹氏:BCGシニア・パートナー&マネージング・ディレクター。ハーバード大学政治学部および東アジア研究学部卒業。同大学経営学修士(MBA)。BCG ニューヨークオフィスを経て現在に至る。BCG グローバル・エグゼクティブ・コミッティ(経営会議)メンバー、マーケティングのグローバルリーダー。
ひとつは、社会が成熟していく過程でモノに対する欲求がある程度満たされてしまったこと。もうひとつは、デジタルネイティブ世代と呼ばれる若者たちが互いのつながりを重視するようになったため、モノ自体の消費よりも、経験を共有できる体験型ラグジュアリーを好むようになっていることにあります。
「つまり、同じ値段で高級バッグを買うよりも、たとえば友人やパートナーと旅行に行き、良いホテルに泊まり、それについて話し合うことを贅沢だと感じるようになってきたということです。ラグジュアリーブランドがホテル事業に進出するようになったのも、こうしたトレンドを反映しているのだと思います。ラグジュアリー商品が売れなくなったわけではありませんが、近年でもっとも成長著しい分野が体験型ラグジュアリーであることは間違いありません」(津坂氏)
体験型ラグジュアリーにはホテルのほか、レストランや美術館なども含まれます。なかでも、ラグジュアリーブランドがホテルに着目しているのは、その滞在時間の長さと、衣食住のすべてにおいてブランドの世界観を丸ごと体験してもらえることにあります。
いわば、ホテルは究極のブランド体験スペースでもあるのです。
ひとつのブランドの世界観で高級ホテルを手がける魅力と難しさ

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アルマーニが初めて手がけたホテルは、ドバイの超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」内にオープン。家具もプロデュースするブランドだけあり、部屋の至るところがアルマーニブランドで統一されている。(画像/Bloomberg)
アルマーニが初めて手がけたホテルは、ドバイの超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」内にオープン。家具もプロデュースするブランドだけあり、部屋の至るところがアルマーニブランドで統一されている。(画像/Bloomberg)
現代のラグジュアリーブランドでは、生活全般に関わる商品をプロデュースするというライフスタイルブランド化が進んでおり、ホテルもその流れの延長線上に位置づけられます。
実際、ドバイとミラノにホテルを展開するアルマーニは、インテリアからアメニティまでジョルジオ・アルマーニが自ら手がけており、そのいくつかは、家具やフラワーアレンジメントというかたちで世界中のショップで販売されています。ラグジュアリーブランドのホテルには、巨大なショールームという側面もあるわけです。