%からの脱却――行動を基点に生活者を理解する

 マーケティングリサーチの技術革新は日進月歩だ。かつて技術的に、あるいはコストが高すぎてできなかったことが、今は可能になっていることも多くある。その一方、マーケターやリサーチャーは未だに定量的リサーチの結果である%(パーセント)に支配されているのではないだろうか。

 本来は、生活者をより深く理解するためには、彼ら、彼女らの情報行動をつぶさに観察し、分類、分析した方が良いということは自明なはずだ。かつては、それができなかったから次善の策として利用していたはずの手法や指標が、いつの間にか唯一のものと認識されてはいないだろうか?

 マーケティングの役割は、自分たちが提供する商品/サービスへ愛着や客観的理解はもちろんのこと、生活者理解もそれと同様に重要であり、性年代や自社ブランドユーザーといった既存の分析枠ではなく、実際の人々の行動からそのインサイトを把握する分析が大切である。

 次回は、このような視点で生活者とブランドの代表的接点となる「購買行動」に焦点を当てた生活者理解の事例を紹介する。

(つづく)

*次回は5月29日(金)公開予定

【注】
(1)日本全国の 20 代 ~ 60 代男女。2015 年インテージ社
(2)シングルソースパネルは、調査対象者一人ひとりのパソコン・スマートフォン・テレビの視聴行動を詳細に分析できる。パソコンとスマートフォンのブラウザからのインターネット利用や、スマートフォンのアプリ利用、テレビでは対象者が家庭内で見たテレビ番組や CM(録画視聴含む)が分析対象となる。ユーザーの記憶には残らないような情報接触行動まで分析が可能となる。パネル自体は調査会社が提供しており、グーグルは課題に応じてこのパネルのデータを活用し、様々な分析を実施している。
(3)生活者の行動やマーケティング投資の可視化など、データを軸にマーケティングの発展を目指すグーグルのマーケティングチーム
(4)マルチスクリーン行動分析:調査対象者は、テレビがありパソコンとスマホを保有しているマルチデバイス環境下の約 500 人。2013 年 6 月の 1 ヶ月間のデータを集計/分析した。紹介映像 (YouTube) / Google AdWords blog 記事(前編/後編

 

【連載バックナンバー】
第1回:デジタルテクノロジーによってマーケティングはどう変わるか
第2回:記録と記憶は異なる――大きく変化する生活者の日常を捉える