発信者と受信者の間に生まれる、強い「感情的な絆」

 上記の事例に共通するのは、ソーシャルで再拡散する際の元ネタとなる情報やコンテンツの発信頻度が高いこと、その元ネタ自体に拡散される要素を凝縮していること、魅力的であるだけではなく親近感を持てる登場人物、視聴者のコメント等を取り込みすぐに改善、発展させるリアルタイムな双方向性、等である。

 両者は、視聴者が共感し、共有したくなるコンテンツを実現するために、視聴者を知り、その距離を縮める様々な工夫に多大な時間と労力をかけた。このアプローチで制作されたコンテンツは多くの視聴者に強い興味と関心で受け入れられ、共感とともに多くの生活者に再発信されたのである。視聴者・生活者はもはや情報を消費(コンサンプション)するだけの存在ではない。

 新しい情報環境がもたらしたパワーバランスの変化にマーケターがついていくには、生活者がエンゲージしたくなるような情報を発信し続けることが重要である。継続的なエンゲージメントは、発信元への共感と信頼につながり、生活者と感情的な強い絆をきずくチャンスとなる。

(つづく)

*次回は6月12日(金)公開予定

 

【連載バックナンバー】
第1回:デジタルテクノロジーによってマーケティングはどう変わるか
第2回:記録と記憶は異なる――大きく変化する生活者の日常を捉える
第3回:これからの生活者分析――人々の行動を基点に生活者を理解する
第4回:生活者はどうやって検索しているのか?商品を選ぶ「兆し」をつかむ