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「周辺視野」の重要性
人口動態の変化、ニュー・カマー、新技術、規制など、青天の霹靂ともいえる環境変化に見舞われる企業は多い。その予兆をいち早く察知し、チャンスに変えるには、どうすればよいのだろう。また逆に足下をすくわれないためには、何に取り組めばよいのか。
このような脅威には、えてしてかすかな兆候がある。それは、視界の隅にぼんやりと映る小さな変化だ。人間の周辺視野と同じように、この手の兆しは見落としやすく、影響も推し測りにくいが、やがて死活に関わることが少なくない。
目の前の基礎データを解釈するのは造作ないことだ。しかし、何かが足りないことに気づく能力、言い換えれば「大切なものを見落としていないか」と周囲に目を光らせることも忘れてはならない。
我々は、戦略論、組織論、意思決定論における研究成果に学び、ウォートン・マック・センター・フォー・テクニカル・イノベーションで10年にわたって続けてきた新技術の研究、世界各国のさまざまな組織との交流を通じて、「戦略の視力検査」を開発した。これは、企業の周辺視野を診断し、これを強化するためのツールである。
また、世界中で150人以上の企業幹部、また農機メーカー、マスコミ、エネルギー、ソフトウエアなどの企業へのコンサルティングを通じて、周辺視野を広げることを支援してきた。本稿が明かすとおり、周辺視野を改善する第一歩は、しかるべき疑問を抱くことにある。
では、どれくらいの周辺視野が必要だろうか。一般的に、周辺視野が広い企業は少ない。世界各国のシニア・マネジャーを対象に調査を実施したところ、その81%が「もっと周囲を警戒しなければならない」と回答した。
140人の戦略立案担当者を対象にしたフルド・ジラッド・ヘリング・アカデミー・オブ・コンペティティブ・インテリジェンスの調査では、回答者の3分の2が「過去5年に3回もの大きな脅威に遭遇した」と答えている。さらに、その97%が「そのための警戒システムが不十分だった」と認めている。