デジタル活用で働くことの再定義と価値を創出した野村不動産
不動産業界からは、野村不動産の成功事例が示された。同社 住宅事業本部 営業推進部 営業推進課 課長代理の小林 翔氏が2つのチャレンジについて紹介した。
「1つ目は商品戦略部での取り組みです。商品戦略部では建築情報を集約し、その知見を組織として活用できる状態にすることがミッションでした。緻密なスケジュール管理が求められますが、一方で業務の抜け漏れや遅延なども発生していました」(小林氏)。

その課題を解決するために選定されたツールがPower AppsとPower BIだった。まずPower Appsで開発されたアプリを使って物件ごとにデータを入力すると、Power BIに情報が集約される仕組みだ。工期がスケジュールより遅れると赤でアラートが表示され、詳細情報がPower BIから閲覧できる。これにより労務効率がアップした。
「2つ目は、マーケットインの商品や営業の再構築を行う営業推進部に異動してからの取り組みです。ここでは顧客情報をDMP(Data Management Platform)に一元化し、BIツールでデータを可視化することもミッションでした。最近は管理者が若手に移り、彼らにも使えるツールで戦略を練る方針になりました」(小林氏)。
従来はExcelで物件ごとに情報を管理していたが、当時は紙のアンケートからデータを手作業で再入力しており、残業も多かった。現在はタブレットでアンケートを実施し、集計データをPower BIで分析する形になり、労務効率が20%アップしたという。
「Power Platformは営業や文系でも使いやすく、現場でデジタルを使うメリットを生かせます。今後の課題は、心から使い勝手が良いと感じてくれるアプリを作ること。またデジタル人材の育成も必要です。我々は今後も価値の創造と創出にコミットメントしていきます」(小林氏)。