これらの発見は、上司と直接顔を合わせる時間が、キャリアパスに違いをもたらすことを示している。ただし、その組み合わせは、男性従業員が男性上司を得た場合に限られるようだ。
もちろん企業によって状況はそれぞれ異なり、私たちがこのアジアの銀行について発見したことは、ある程度割り引いて受け止める必要がある。未来の研究は、異なるコンテクストでこの影響を調べてくれるだろう。
そのうえでなお、私たちは、ビジネスパーソンにアドバイスしたいことがある。
まず、あなたとマネジャーとの関係は、あなたの昇進に影響を与える可能性があること。したがって、チャンスがあればいつでも、マネジャーと関与する努力をしよう。そのチャンスを自分でつくってもいい。シャイな人は、そのぶん努力をする必要がある。もしあなたが女性なら、もっと努力をしなければいけないだろう。
マネジャーたちにもアドバイスがある。ビジネスで利益を上げるためには、上司との雑談がうまいだけでなく、与えられた仕事を誰よりもきっちりできる従業員を昇進させたいはずだ。今後の研究では、こうした昇進と給料におけるバイアスを最小限にするポリシーが証明されることを期待したい。それまでの間は、いくつかの暫定的な解決策を提案しよう。
第1に、経営幹部における多様性を拡大すれば、それが組織全体に広がる助けになるかもしれない。
私たちが得た証拠は、女性マネジャーは男性マネジャーとは異なり、男性も女性も同じように扱うことを示している。したがって女性マネジャーを増やせば、女性たちにより対等な土俵を与えることができる。
たとえ一部のマネジャーが変わらなくても、従業員の昇進が複数のマネジャーのチェックを受けることにすれば、公平さを確保する助けになるだろう。雑談で上司と仲良くなるのも、相手が1人なら簡単かもしれないが、2~3人になると難しくなるはずだ。
第2に、あらゆるタイプの従業員がマネジャーと交流できる機会をつくること。男性マネジャーが男性従業員と定期的にサッカーをプレーするなら、会社は女性従業員を夢中にさせる活動を推進することができるだろう。
第3に、誰を昇進させるか決めるときは、客観的な情報を用いること。
あなたは部下たちの労働時間を把握しているだろうか。営業成績は? 独自のアイデアをどのくらい提案してきたか。勤務評定にアルゴリズムを使うのもいいだろう。依然としてバイアスがかかる可能性はあるが、少なくとも、従業員がたばこ休憩中にアルゴリズムと雑談することはできないのだから。
HBR.org原文:Study: How Schmoozing Helps Men Get Ahead, January 29, 2020
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