日揮グローバルはプラント建設リスク軽減のため紙とペンの業務を変革
Power Appsを使った従来業務のデジタル化の効果について解説したのは、日揮グローバルのDXエンジニアである小笠原 涼太氏だ。

同社は、オイルやガスの精製・製造設備の設計・建設を手掛ける大手プラントメーカー。Power Appsでアプリを開発し、プラント建設の業務改革に取り組んでいる事例を紹介しよう。
プラント建設現場では、デジタル化がほとんど進んでおらず、紙とペンによる非効率な作業が課題となっており、ITを活用したアプローチが求められている。

建設工事は、図面・材料・労働力・建機・先行工事のすべての準備ができなければ、次の後工事へは進めない。そこでこれらをスケジュール通り無駄なくそろえて建設リスクを低減する、「AWP」(Advanced Work Packaging)と呼ばれる建設管理手法が注目されている。AWPには設計や調達、先行工事を行っている人とのコミュニケーションが鍵となる。ITシステムを有効活用し、現場の人間と緻密なコミュニケーションを実現しながら効率よく管理していくわけだ。
ただ、現場に従来業務を効率化するアイデアがあっても、現場側ではITに関する専門知識がなく、リソースも足りない状態だった。そこで専門知識を持たなくとも簡単にアプリを開発できるPower Appsに目を付けた。
小笠原氏は「学生時代は化学工学を専攻していて、ITには無関係で知識もほとんどない初心者でした。しかしPower Appsは、PowerPointやExcelのような使い勝手で、独学で習得することができました。少ないコード量で実用に耐えうるアプリを開発することができました」と大いに評価する。
もうひとつ決め手となったのは、Power AppsがMicrosoft 365のサービスとして利用できることだった。Microsoft 365を導入していた同社にとって初期の導入コストが発生せず、システムの開発と運用が行え、さらに従来システムとの連携も容易な点が魅力だった。