Andrii Zastrozhnov/Getty Images

企業に対する圧力がますます高まっている。投資家のために株価を上げるだけでなく、社会変革を推進し、気候変動をはじめとする複雑な問題の解決策を見出すことが求められているのだ。社会の要請を受けてビジネス界が変化している一方、ビジネススクールの変化ははるかに遅い。本稿では、ビジネススクールがリーダー育成に貢献するために解決すべき3つの課題を示す。


 近現代の経営教育の基本的な形は、1950年代末期にさかのぼる。それは学生と企業どちらのニーズにもおおむね対応する、即応性と柔軟性を備えたモデルであった。

 これはカリキュラムの内容のみならず、経営学部の研究から生まれるアイデアについても当てはまる。ビジネススクールがなければ、私たちにとって当然のものとなっている経営のフレームワークとコンセプトの多くは存在しなかっただろう。

 たとえばマイケル・ポーターの5つの競争要因ノーベル賞を受賞した資産評価とファイナンスの研究、クレイトン・クリステンセンの破壊的イノベーション、そしてブルーオーシャン戦略。昨今議論されている、エージェンシー理論のコンセプトも然りである。

 こうした背景がある一方、ビジネス界に対する社会的圧力が高まっている。すなわち、企業は率先して気候変動の危機に対する解決策を見出せ、そして社会変革の推進役になれ、と求める声である。

 この圧力が高まるにつれて、従来型のビジネススクールのモデルは時代遅れに映り始めている。ビジネススクールにおける変化のペースは、ビジネス界の変化に比べるとはるかに遅い。結果的にMBA取得者は、先進企業や多くの一般的な企業が直面する複雑な課題に対応する準備が、ますます不十分となっている。

 ビジネススクールが今後数十年にわたって「世の中をよくする力(force for good)」であり続けるためには、企業に突きつけられている課題に立ち向かい、それらに見合った教育と研究を行う必要がある。課題は、以下3つのカテゴリーに分けられる。