背景は慎重に考えよう

 背景に関しては、4つの印象特性のうち3つにおいて最も好まれた選択肢は、話者の背後にある実際の部屋を見せることであった。洗濯物の山や、背後に入り込んできた子どもを誤って視聴者に見せてしまうリスクを考えれば、これは意外な結果である。

 しかし真実味、信頼感、専門性を印象づけようと努めるならば、何もない壁やバーチャル背景は、重々しさや誠実さをあまり感じさせない。それよりも自分のいる部屋を見せるべきだが、映り込む空間として望ましい場所を選び、背後の壁をどうするか考慮しよう。

 回答者の44%は、話者の背後に本や本棚がある壁を見ることを好んだ。一方で34%は、アート作品、卒業証書や賞状、写真などの額で飾られた壁を好んだ。

 男性の多く(50%)は本への選好を示し(女性は38%)、女性の40%は額装を好んだ(男性は28%)。家具や私物を含む、より広い部屋空間が話者の背後に映ることを好んだ人は、全体の22%にとどまった(男女の割合はほぼ同じ)。

 ここでも、イノベーティブな印象に関してはもう少し複雑だ。話者をイノベーティブに見せるうえで最も効果的な背景として、僅差で最多となったのは無地の壁である。

 バーチャル背景の表示はたしかにテクノロジーの新しい使い方だが、それが話者当人のイノベーティブな印象を強めると考える回答者は17%のみであった(全体では、バーチャル背景への票は平均わずか7.5%。つまり仕事での会議には使わず、次回のバーチャルパーティーのために取っておくのが得策ということだ)。

 幸いにも、バーチャル会議でよい印象を形成するという点において、参加者自身がどうにかできる余地は意外なほど大きく、向上心を発揮する機会もある。

 画面上の会議での自己アピールには、対面時と少なくとも同等の努力を注ぐべきだ。現実世界と同じように、成功するための服装を身につけ、素晴らしい第一印象を築くチャンスがあるのだ。

 ただし、忘れてはならない。バーチャルの世界における成功のための服装とは、着る服だけでなく、自分のイメージを見せる環境にも慎重に配慮するということである。


HBR.org原文:Dress for the (Remote) Job You Want, June 18, 2020.


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