こうした傾向が重なり、一部の企業は完全に消滅するか、大幅に規模を縮小することが予測される。しかし、たとえビジネスモデルや経済性が異なっても、期待値が下がって成長が鈍化すると同時に、繁栄を遂げる企業も出てくるだろう。

 ただし、そこには「ワイルドカード」が存在する。規制当局だ。市場が要求する収益性と競争優位性を実現するため、企業が独占と集約に向かう中、規制当局はますます強硬的になり、反トラスト法や実際的な監督と介入に転じる可能性が高い。問題は、当局がどこまでやるかということだ。

 迫り来る経済危機が、保護主義と国内大手を保護する機運を高めていることを考えれば、大西洋両側における規制当局の今後の動きはいっそう不確実である。筆者が望むのは、業界主導のイニシアチブ、消費者による監視の強化、バランスの取れた規制が相まって、テクノロジーが、善良さと人類の進化をもたらすという本来の目的に戻ることだ。

 興味深いことに、こうした状況の変化は、レガシー企業にユニークな機会を生み出しているようだ。すなわち、デジタル面で方向転換(ピボット)するのではなく、「プラットフォーム3.0」に変貌を遂げるのである。

 レガシー企業は物理的な世界での事業展開を熟知し、ブランドを構築して維持する方法に精通したマーケティングチームを持つことに加えて、重要なことに、収益性の高い事業を法律の範囲内で、複数の地域で展開する方法を知っている。これらの点で大きなアドバンテージを持っているのだ。

 これに成功するのは容易ではなく、ほとんどの企業は失敗するだろう。しかし、成功を収めた企業は大きな見返りを得ることができるはずだ。


HBR.org原文:What's Next for Silicon Valley? September 30, 2020.


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