(1)ミーティングのFOMO

 会議に出席しすぎる最も多い理由の一つは、FOMO(Fear of Missing Out:フォーモ)だ。

 私たちは会議の出席者として、すべての招待を受けなければ同僚に批判されるのではないか、最悪の場合は自分が忘れられてしまうのではないかと不安になる。「理想の労働者」とは何かという規範が深く植えつけられているため、そこに存在することと生産性を同一視しやすいのだ。上司が実際に顔を合わせる時間をコミットメントの代わりとしたり、会議に欠席した人の意見を反映させなかったりすると、こうした思い込みが助長される。

 このような有害な行動を避けるのはマネジャーの役割だが、従業員も会議以外の場で自分の価値やエンゲージメントを示す方法を見つけることにより、こうした不安を克服できる。たとえば、会議の前に自分の考えを伝えるように努めたり、会議後に主催者にフォローアップしたりすれば、出席を断ってもかまわないと思いやすくなるかもしれない。

 興味深いことに、会議のFOMOは、出席者だけでなく主催者にも影響を与え、出席予定者のリストが膨れ上がる時もある。

 あなたが会議を運営する際は、会議に関係がない人を外すことは侮辱ではないと、心に留めておこう。会議がその人の時間を無駄にしそうな場合、その行為を認めるほうが、実は敬意を払うことになる。彼らにも事前に助言を求め、会議後に主要な関係者に状況を報告し、議論のすべてに関わらなくても必要な情報を得られるようにする。

 さらに、出席者のFOMOの懸念を払拭することも、会議の運営者の役割だ。出席は任意であることを明確に伝えよう。出席を要請しない人には、彼らの助言に感謝していることや、自分の時間を優先順位の高いことに使ったほうがよいと考えて外しただけであることを明確にする。

 最も重要なのは、意識的にせよ無意識にせよ、会議への出席をコミットメントの代わりにするつもりはないと確認することだ。研究によると、最も生産性の高い従業員は会議に出席する回数が少なく、自分のスケジュールを守って仕事に没頭している。従業員エンゲージメントの評価を会議の出席率に頼っているなら、他の指標を考えるべきだ。

 最後に、チーム全体で会議のFOMOを克服する最善の方法は、あなた自身が健全な手本を示すことだ。不要な会議は断ってよいのだとチームにうながすために、あなたが目に見える形で会議を断る。そして、集中力を高めるための時間を確保しやすくするために、やはり目に見える形で手本を示す。

 筆者らの同僚は、メールの署名欄に自分が集中力を高める時間を記載した。これにより、チーム全体が彼の不在時間を把握して、自分たちも同じようにしてよいことを理解した。