尊重
すでに述べたように、多くの女性医師は、自分たちの仕事と関わる意思決定に関与できていないと感じている。言い換えれば、女性医師は敬意を払われていないという思いを抱いているのだ。
女性医師が会議に呼ばれなかったり、意見を述べている途中で遮られたり、同じ内容の意見を男性が述べて初めて真剣に取り上げられたりするという経験を重ねるうちに、その感情はますます増幅される。あらゆる職種の女性が、このようなダイナミクスを日常的に経験しているが、医師も例外ではない。
女性医師が尊重される環境を育むうえで、有効なアプローチはいくつもある。最も有効なのは、マネジメント層やあらゆるタイプの医療チームの多様性を高めることだ。また、多くの医療機関では、患者や家族との話し合いの場でスタッフが身に付ける名札に肩書(「医師」など)を載せるようにしている。患者や家族が「女性は担当医ではない」と思い込むケースを減らすのが狙いだ。
リーダーがただちに実践できる重要な方法の一つが、女性などのマイノリティに対して、自分たちの職場文化が包摂的であると示すことだ。歴史的に発言の機会を与えられてこなかったマイノリティが会話に参加し、意見を述べるよう意図的にうながしたり、話しすぎる傾向のある人に少し発言を控えるよう個人的に指導したりすることは、いますぐ実行できる。
さらに、非公式にグループディスカッションの場を設けて無意識バイアスについて議論したり、個別に自己評価を行ったり、正式な研修プログラムを実施したりすることも有効だ。このような取り組みを重んじることで、アンコンシャス(無意識)バイアスを是正し、職場の女性に対する敬意を高めることができるだろう。