オーセンティシティを最大化する
コミュニケーション手法の選び方
筆者は『ジャーナル・オブ・アップライド・サイコロジー』誌に最近発表した論文の中で、感情面のオーセンティシティを阻害する要因の一つ、すなわちバーチャルコミュニケーションを、この問題に対処するためのツールとして積極的に活用できないかを検討した。
現在、多くの職務上のやり取りが遠隔で行われ、メールから対面、ビデオ会議まで、どのコミュニケーションモードを利用するかを選択する場面がよくある。
もしある種のコミュニケーションモードに誤解や感情の隠蔽を招く可能性があるのなら、本心でない感情をより本心らしく見せるために、それらのコミュニケーションモードを戦略的に活用することも可能ではないか。言い換えれば、「そのコミュニケーション自体が本心でない場合」に、どのコミュニケーション媒体が最も本物の感情を表現していると受け取られやすいのだろうか。
これらの問いに答えるために、筆者はまず、どのコミュニケーション媒体が最適かに関する人々の直観を理解しようと努めた。
そこで、4大会計事務所のオーストラリア支社に勤務する234人の金融プロフェッショナルを対象に、パイロット調査を実施した。本心でない感情、または本心の感情を伝える必要があるさまざまなシナリオを提示して、彼らがどのコミュニケーション媒体を選ぶかを調べた。また、それぞれの媒体への印象についても質問した。
すると、本心を伝える場面では、よりリッチなコミュニケーション媒体(電話や対面など)を選択する傾向があることが明らかになった。一方、本心でない感情を伝える場面では、心の奥底の感情を隠すのに最適だからという理由でメールを選ぶという劇的な変化が見られた。
次に筆者はメインプロジェクトとして、1029人を対象とした3つの調査を実施し、直観を超えて、感情面のオーセンティシティに関して、実際にどの媒体が最適なのかを検証した。
その際は、交渉相手の偽の怒りに対する幅広い職種の米国人労働者の反応、興奮しているふりをしている可能性がある部下へのマネジャーの対応、そしてベトナムの私立インターナショナルスクールに通う子どもたちの保護者による、教師の感情面のオーセンティシティに対する評価が使われた。
そして、対面/ビデオ、電話、メールによる感情の伝達について、発信者のオーセンティシティに関する受け手の感じ方がそれぞれどう変わるかを検証した。