話をまとめよう。あなた自身の仕事に活用できるコツとして、以下の3つのポイントを挙げておく。

・本心を伝えている場合は、利用できる中で最もリッチなコミュニケーション媒体を選ぼう(対面やビデオ会議など)。

・本心を伝えたくない場合(適切でない感情を抑え込む必要がある場合など)、本心であるように見せるためには、概して電話または音声によるコミュニケーションが最適である。

・本心だと受け止めてほしい感情をメールで伝えなければならない場合、意図的にメールを選択したわけではないこと、またはポジティブな理由でメールを選んだことを明確に伝える方策を探し、労力を減らすためにメールを選んだという印象を薄めよう。

 筆者の研究によれば、本心からの感情ではないという印象を生む要因は、メールを使う行為自体ではなく、メールを使うことを「選択した」と受け手に思われることである。たとえば、誰かの昇進を祝う場合、直接会ってお祝いしたいのはやまやまだが、知らせを聞いてすぐに祝意を伝えたかったからメールを送った、と伝えればよい。

 この研究結果の応用として、マネジャーが従業員のズーム疲れを軽減したい場合は、カメラをオフにする状態を標準にすることを検討しよう。

 パンデミックや孤立をはじめ、さまざまな理由でストレスを募らせ、そのストレスを隠そうとしている従業員にとって、カメラに映っている状態は極めて負担が大きく、疲弊してしまう可能性がある。カメラをオフにすることで、彼らは自分がどんな感情を見せているかを気にすることなく、目の前のタスクに集中できる。

 ただし、この研究から明らかになった包括的な発見が1つある。私たちが思っている以上に、コミュニケーション媒体が多くのことを伝えているということだ。その原因としては、感情を示す手がかりが漏れ出してしまうこともあれば、コミュニケーションモードの選択に基づいて、受け手が評価を下すからという点も挙げられる。

 職場での交流がますますバーチャルに移行する中、コミュニケーションの選択──そして、それがもたらす意図せぬ影響──に意識を向けることが、これまで以上に重要になっている。


"Communicating Authentically in a Virtual World," HBR.org, January 20, 2022.