●進捗を喜ぶ
「転職する」のような最終的な目標だけを掲げても、すぐにやる気を失い、敗北感を味わうことになりかねない。最終目標の達成を望むことは問題ない。しかし、筆者のコーチングのクライアントの場合、そこに至るまでのステップを明確にすることと、それぞれのステップを達成したら喜ぶことが、彼らが成功を収めるうえで重要であった。
たとえば、新しい仕事を探している人の場合、自分の人脈の中から毎週一定数の相手に連絡を取ったり、リンクトインのプロフィール情報を更新したりするなど、新たな機会を得るための具体的な活動をステップとして設定する。
このようにもっと手前のターゲットを目標に据え、毎週、自分がコントロールできる範囲で達成できた成果を喜べるようにする。そうすることで主体感が生まれ、最終目標をまだ達成できていなくても、失敗したように感じるのではなく、そこに至るまでの過程に成功を感じられるようになる。
●プロセスを大事にする
「もしXが起こったら、Yをしよう」と自分に言い聞かせるif-then文を活用することは、変化を起こすための強力なツールだ。この戦略は、あらゆる種類の目標の成功率を大きく高めることがわかっている。
数カ月にわたって他人と一緒に仕事をする人にとって、目標に関する最も重要なif-then文の一つは、「もし軌道から外れたら立ち止まり、何が間違っていたかを考え、正しい軌道から再スタートをしよう」だろう。そこで、セルフコンパッション志向の目標設定の一環として、次のような標語を加える。
「もし私が本来の目的から外れてソーシャルメディアに没頭したら、何がその引き金になったのか、そして、その引き金や自分の役に立たない反応を防ぐために、これからどうしたらよいかを考えよう」
それを失敗だと考えずに、あくまで目標に近づくプロセスの中にある別のステップだと考える。人が変わるための唯一の方法は、特に長年苦労を重ねてきた分野では、自分自身に途中でつまずけるような余裕を与え、そこから立ち上がり、何度も何度も挑戦することだ。
あなたが目標達成のモチベーションを保つことに苦労しているなら、ここまでのアイデアを参考に、自分に対してより親切で、自分自身をもっと応援してくれるような表現に言い換えてはどうだろう。あなたは前に進むことができる。あなたが選ぶ言葉が、そのような未来をつくるのだ。
"To Reach Your Goals, Embrace Self-Compassion," HBR.org, February 22, 2022.