・戦略とは、業界における唯一の理想的な競争上のポジショニングを見出すことであるという考え方(この論文が執筆された当時、ドットコム業界に乗り出そうとする企業がそれを目指していたように見えた)。

・戦略とは、ベンチマーキング、もしくはベストプラクティスを採用することであるという考え方(当時、多くの論者が批判を浴びせていた著作『エクセレント・カンパニー』を暗に批判したものと言えるだろう)。

・戦略とは、精力的にアウトソーシングと提携をおこない、効率を高めることであるという考え方(これはもしかすると、戦略コンサルティングの始祖とも呼ぶべきボストンコンサルティンググループの創業者ブルース・ヘンダーソンが1989年に発表した論文“The Origin of Strategy”を念頭に置いていたのかもしれない)。

・戦略とは、いくつかの重要なファクター、重要なリソース、コアコンピタンスに集中することであるという考え方(これはもしかすると、C. K. プラハラッドとゲイリー・ハメルの1990年の論文“The Core Competence of the Corporation”を念頭に置いていたのかもしれない)。

・戦略とは、たえず変化する競争環境と市場に素早く対応することであるという考え方(これはもしかすると、イノベーション戦略をテーマにしたリタ・マグラスとイアン・マクミランの1995年の論文「未知の分野を制覇する仮説のマネジメント」を念頭に置いていたのかもしれない)。

 ポーターに言わせれば、戦略はすべて、煎じ詰めれば2つの基本的な選択肢に集約できる。一つは、ほかのみんながやっていることを行う(ただし、そのために費やす予算をほかのみんなより少なく抑える)こと。もう一つは、ほかの誰もやっていないことを行うことである。