ケーススタディ(2)会社に対するコミットメントを示し、期待された通りの成果を上げる
ウィリー・グリアは、テネシー州メンフィスを拠点にテクノロジーや製品レビューを開発する、ザ・プロダクト・アナリストの創業者である。「家族に対するコミットメントを上司に拒絶されたらどう感じるか、よくわかります」と彼は述べる。
数年前、彼はデジタルマーケティング業界で人事部門のマネジャーとして働いていた。当時のウィリーには、幼い子どもたちと、フルタイムで働く配偶者がいた。
彼がその会社で最初に働き始めた頃、上司――仮にシーラと呼ぶことにする――との仕事上の人間関係は円滑だった。ウィリーはトップパフォーマーの一人で、シーラは彼を信頼し、難易度が高くて注目を浴びている任務を与えた。
ところが、育児をめぐるウィリーの状況が変化すると、2人の関係は緊張をはらむようになる。子どもたちを学校に迎えに行くために週に2日早退してもいいかとウィリーが尋ねると、シーラは駄目だと告げた。「夜に仕事してその穴埋めをすると申し出たが、あなたはオフィスにいる必要があると言われました」と、ウィリーは言う。
ウィリーは自分から行動を起こすべきだとわかっていた。まず、彼はシーラに共感を示した。シーラの優先事項や懸念について尋ねたのである。シーラは経営陣から激しいプレッシャーをかけられており、いくつかの喫緊のプロジェクトに関して特に心配していると答えた。
次に、ウィリーは会社と仕事に対するみずからのコミットメントを示し、シーラにそのプロジェクトに集中すると申し出た。「その仕事については安心してほしいと伝えたかったのです」
最後に、家庭での責任を包み隠さず正直に打ち明けた。「子どもたちは幼いので、少しばかりの寛容さと柔軟性が必要だと話しました」
シーラは彼の嘆願を受け入れるのに気が進まないようだったが、試してみることに合意した。ウィリーはプロジェクトに焦点を絞り、必ずすべての締切を守るようにした。シーラの懸念を和らげるべく、彼女に定期的に最新情報と現状を報告した。そして週に2日、子どもたちを迎えに行くために1時間早く職場を出た。
状況は好転したが、ウィリーはまだ不満を感じていた。「自分の部下たちを大切に扱い、人生には仕事以外のこともあるとわかっているマネジャーの下で働きたかった」と彼は語る。
ウィリーはその後、比較的短期間で転職し、ほどなくして会社をみずから設立した。「私は、社員が最高の自分になれるような職場環境をつくりました」
HBR.org原文:When Your Boss Doesn't Respect Your Family Commitments, September 01, 2020.
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