従業員が自分の仕事を通じて
パーパスを追求する方法
組織のあらゆるレベルで働く人が、同僚や顧客との交流をより人間的に、会議をより有意義に、業務をよりインクルーシブに、マーケティングをより慈善的にすることができる。バンク・オブ・アメリカ、ディズニー、フェデックス、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、トヨタ自動車、ウェスタンデジタルなど、筆者が助言を行ってきた企業でも、従業員がそれを実践していた。
多くの企業が、偏見を減らして人種差別と闘うための方針や制度を採用している。たとえば、スターバックスやウォルマートは、採用の事前選考プロセスで重罪の前科者を差別しないために、応募書類に犯罪歴の記入を求めていない。さらに、多くの人事担当者や管理者が「無意識のバイアス」に関する研修を受けて、差別的な思考や行動のパターンを特定できるようにしている。
ただし、こうした方針や制度も重要だが、もっと小さな個人レベルの行動も、社会正義の促進において大きな役割を果たす。個人レベルで仕事にパーパスを取り入れている例を、以下に紹介しよう。
・フォーチュン500のホスピタリティ企業で働くある管理者は、会議中に発言を控えている人々に(女性や有色人種が不釣合いに多いことがわかっている)、自分の考えを話すよう常に促している。
・ある白人の不動産仲介業者は、物件所有者の申請や取引を審査する前に、まず無意識のバイアスについて話をする。彼女によると、ほとんどの人が知らず知らずのうちに、マイノリティの交渉相手をマイノリティ以外の人のように好意的に見ていない。そこで、この無意識のバイアスを克服するには互いの努力が必要だと説明し、その努力を促すと同時に、手助けとなるリソースを得られるサイトの情報を提供している。
・あるケータリング事業者は、食材の少なくとも20%を、マイノリティグループの人々が経営する小規模事業者に発注している。
・ある製造工場のライン労働者は、日々の会話で人種差別をしないように心がけている。同僚が何かしら人種を蔑ろにした発言をすると、「それはクールじゃない。自分は人種差別には加担しない」と言う。それでも問題のある発言が止まらなければ、彼は会話から離れる。