本連載では『ハーバード・ビジネス・レビュー』を支える豪華執筆陣の中から、特に注目すべき著者を毎月一人ずつ、東京都立大学名誉教授である森本博行氏と編集部が厳選します。彼らはいかにして、現在の思考にたどり着いたのか。それを体系的に学ぶ機会として、ご活用ください。本稿では、ハーバード・ビジネス・スクール准教授のプリトラージ・チョードゥリー氏についてご紹介します。

IBM、マッキンゼー、マイクロソフトを経て
ハーバード・ビジネス・スクールで教鞭を執る

 プリトラージ・チョードゥリー(Prithwiraj Choudhury)は1974年生まれ、現在46歳。ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)のルミリー・ファミリー記念講座准教授を務める。HBSでは、MBAの1年生の授業科目であるテクノロジー・アンド・マネジメント(TOM)ユニットの講師を務めるほか、エクゼクティブを対象としたリーダーシップ開発プログラムも担当している。

 チョードゥリーは1995年、インド工科大学でコンピュータサイエンスの学士号を修得したのち、当時インドに再参入したばかりのIBMにソフトウェアエンジニアとして就職した。しかし、在職1年でIBMを退職すると、1996年にインド経営大学院のMBAコースに進学し、1998年にMBAを修得した。

 インド経営大学院卒業後は、マッキンゼー・アンド・カンパニーのムンバイ・オフィスに就職し、ソフトウェア業界、小売業界、メディア業界などのコンサルティングを担当した。在職期間中は、インドのデーリー、米国のデトロイト、ロシアのモスクワ・オフィスでの勤務を経験している。その後、2003年にシンガポールのマイクロソフト・アジアに転職し、東南アジアのグローバル企業に対するライセンス契約などのマネジメントを担当した。

 2005年、チョードゥリーはHBSのDBA(経営学博士)コースに進学して、2010年にDBAを授与されると、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールの助教授に就任した。2013年にはHBSの助教授として採用され、2019年に准教授に昇任している。

 チョードゥリーがHBSでDBAを授与された博士論文のテーマは、“Innovation in Emerging Market”(新興国市場におけるイノベーション)である。新興国市場戦略で著名なHBSのタルン・カナ教授の研究指導を受け、新興国にイノベーションをもたらす多国籍企業、政府系研究機関、国内企業における個々の役割を検討した。 

 ただし、近年の研究分野は当時と異なる。仕事の未来、特にマネジャーや従業員が海外赴任などのグローバルな移動を経験することがキャリアにもたらす効果、在宅勤務(WFH: Work From Home)や働く場所を問わないワーク・フロム・エニウェア(WFA: Work From Anywhere)などに焦点を当て、個人のキャリアや働き方が組織の生産性に与える影響を研究している。

海外勤務の経験は
キャリアアップに不可欠なのか

 新型コロナウイルス感染症の拡大という危機に直面し、各国ではいまも入国制限措置が敷かれているが、感染症が終息すれば、再び国や地域をまたぐ移動が活発になるだろう。

 グローバル化が進んだ経済下でキャリアアップを望む多国籍企業のマネジャーにとって、海外体験を積むことは避けられない。ただし、海外赴任はチャンスをもたらすと同時に、家族との生活や自分のキャリアに対する不安などももたらす。

 チョードゥリーは、『ハーバード・ビジネス・レビュー』(Harvard Business Review、以下HBR)誌に寄稿した “Make the Most of Your Relocation,” HBR, July-August 2020.(邦訳「海外赴任を成長の機会に変える方法」DHBR2021年1月号)の中で、海外赴任がもたらすメリット、およびその制約条件として4つの課題を挙げ、海外赴任をキャリアアップに最大限に活かす方法を提案した。

 プロフェッショナル人材が海外体験をすることのメリットとしては、異なる国の文化を体験することで知識やスキルを身につけ、人的ネットワークを構築し、経済的な恩恵を受けられることなどが、すでに多くの調査を通じて示されている。

 たとえば、多国籍企業の中間管理職が海外勤務を経験することで、リーダーシップ力や独立した意思決定力、非公式な人脈を構築する能力を養うことができる。また多くの場合、異なる地域間での知識の橋渡しを担うナレッジブローカーとしてイノベーションを促進したり、個人の創造性を発揮したりする機会を得ることもできる。

 ただし、海外赴任からメリットを得るためには、4つの制約条件が存在することに注意すべきだ。特定国の国民の入国や就労を禁止する「規制上の制約」(regulatory constrains)、赴任先での資格や免許の取得を必要とする「職業上の制約」(occupational constrains)、異文化で言語も異なる環境で働くことで孤立感に「心理的コスト」(psychological costs)、本社からの支援がなく情報や知識を得られずにキャリアを伸ばす機会を失う「経済的コスト」(economic cost)である。

 この論文では、海外赴任の制約条件を乗り越えて、価値を最大化させるための6つの心得を示している。たとえば、自分のキャリアに海外赴任が果たす役割を考えて、次にどのように行動するかを考えるべきだ。海外赴任を一度だけの挑戦とするのか、あるいはHBS教授のロザベス・モスカンターなどが提唱する「グローバル・コスモポリタン」として、自分の生まれた国や地域に囚われずに活動する人材を目指すのか、よく考える必要があると、チョードゥリーは主張する。

場所を問わずに働ける時代は訪れるか

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、企業ではリモートワーク(テレワーク)や在宅勤務(WFH)の導入が進み、ズームやマイクロソフト・チームズなどのソフトウェアを活用した遠隔会議が自然な形で行われるようになった。

 感染拡大防止キャンペーンが依然として続く中、コロナ禍以前の社会に戻れない、あるいは感染が終息してもコロナ禍以前に完全には戻らないことを考えると、企業には新しい働き方やオフィスのあり方を再構築することが求められている。在宅勤務で生産性や創造性が向上したのであれば、コロナ終息後も続ける必要がある。

 チョードゥリーは、HBRのオンライン媒体HBR.orgに “Is It Time to Let Employees Work from Anywhere?” with Barbara Larson and Cirrus Foroughi, HBR.org, August 14, 2019.(邦訳「従業員に『働く場所の自由化』を認めるべきか」DHBR.net2019.09.05)を寄稿し、働き方の未来を描いた。

 コロナ禍以前の2017年に実施された調査によると、従業員は、WFHで働き方の柔軟性が得られるのであれば、自分の給与が平均して8%減ってもかまわないと考えていることがわかった。その一方で、雇用者側は、従業員がフルに仕事をしない、あるいは「ながら仕事」をする、組織内のコミュニケーションやコラボレーションが不足して、組織学習ができないなどの不安を感じていることがわかった。

 この論稿では、WFHからワーク・フロム・エニウェア(WFA)に移行した米国特許商標庁(USPTO)における特許審査官の生産性の分析を通して、WFAを導入する際に考慮すべきポイントを提示している。

 なお、HBSでエドワード W. コナード記念講座准教授を務めるイーサン・バースタインの研究グループも、“The Implications of Working Without an Office,” with Hayley Blunden, Andrew Brodsky, Wonbin Sohn and Ben Waber, HBR.org, July 15, 2020.(邦訳「オフィスに集まらず生産性をいかに高めるか」DHBR2020年11月号)の中で、在宅勤務からオフィス勤務に戻すべきか、あるいは継続すべきかという問題意識に基づき、リモートワークの生産性と創造性の調査結果から在宅勤務の利点を具体的に明らかにしている。

リモートワークを実践する際の5つの懸念

 チョードゥリーは同様の視点から、“Our Work-from-anywhere Future,” HBR, November-December 2020.(邦訳「リモートワークで組織の生産性を高める方法」DHBR2021年2月号)を寄稿した。

 この論文では、リモートワークの歴史を踏まえて、コロナ禍で一般化したWFHがパンデミック終息後も定着するのか、あるいはさらに発展してWFAに発展するのかについて、実際の導入事例を交えながら検討している。

 現在のリモートワークの原型となったWFHが提唱されたのは、1973年の石油危機でガソリン価格が高騰し、通勤コストが割高になったことが要因とされる。さらに1990年の米国障害者法により障害者の採用が進み、男女均等社会を促進して女性の雇用機会の拡大を図る米国雇用機会均等委員会の命令を遵守するために、リモートワークが加速したと言われる。

 この論文でも前述の寄稿と同様に、USPTOの事例を主に紹介している。USPTOの本社はバージニア州北部のアレクサンドリアにあり、そこには米国の知的財産権の保護に専念するエンジニア、サイエンティスト、弁理士、アナリストなど1万人以上が所属している。USPTOの従来のWFHプログラムでは、少なくとも週1日は本部に出勤する義務があった。その後、2012年からWFHを拡充させたWFAプログラムの導入を開始した。

 USPTOの特許審査官は、本社で2年過ごした後、年間12日以内の出勤の費用は自己負担として、米国本土であればどこでも自由に居住地を選択できるWFAに移行する。現在のコロナ禍では、一部の研修もリモートワーク化させたという。

 WFAを導入すれば、パートナーの転勤でキャリアが制限されることもなく、自分や子どもが望む生活環境を優先できる。複数の仕事に従事するデュアルキャリアの円滑化を促進したり、クオリティ・オブ・ライフが向上したり、雇用されたまま世界中を旅する「デジタルノマド」を実現したりすることができる。知識労働者が移民問題などの制限を理由に特定の国で就労できない場合、たとえば米国では暮らせなくても隣国のカナダに居住して働くなどの就労が可能になるなど、個人のメリットは大きい。

 個人だけでなく、組織にもメリットがある。従業員エンゲージメントや仕事の生産性が高まり、オフィス賃料の軽減や離職防止、世界中の優秀な人材を確保できるようになる。さらに、社会にもメリットをもたらす。地方都市からの人口流出を防止して、頭脳流失の続く国や地域が新規移住者を誘致できるようになったり、自動車通勤がなくなるので二酸化炭素排出量が大幅に削減されて環境保護を実現できたりするのだ。

 ただし、WFAの実践は簡単ではない。チョードゥリーはこの論文の中で、5つの懸念事項とその解決策を挙げている。

 1つ目は、タイムゾーンが異なる場合、ブレインストーミングや問題解決のための会議など同期型コミュニケーションに困難が生じることだ。この課題を解決するには、スラック・チャネルやグーグル・ドキュメントなど非同期型コミュニーションを活用し、それに慣れる必要があるという。

 2つ目は、分散して働くメンバー一人ひとりが有する知識の共有が難しいことである。これには、会議の録画やスライドを保存して、個人が都合のよい時に非同期でアクセスできる「リポジトリ」を作成するのが有効だという。

 3つ目に、従業員が個々に仕事をすることで仲間意識が希薄化して孤立しやすく、燃え尽き症候群やチームの機能不全が起きている兆候を見逃してしまうおそれがあることが挙げられる。この問題に対しては、メンバーが不定期に集まる「バーチャルウォータークーラー」などのオンラインチャットやコロケーションイベントなど「計画されたランダムな交流」の機会を提供することを提案している。

 4つ目に、離れて仕事をする人たちのソフトスキルを評価して、適切な報酬を支払うのが難しい。これを解決するには、労働時間を管理するのではなく、成果物の品質や同僚や顧客からのフィードバックを評価に加えたり、従業員の居住地に応じて異なる賃金を支払ったりすることが有効だ。

 5つ目は、従業員が自宅で仕事をするために、顧客情報が流出しやすいなどのサイバーセキュリティの問題がある。この問題への対処として、すべてのデバイスを保護する「境界ベースのセキュリティ」ではなく、従業員のノートPCの異常な操作を検知する「トランザクションベースのセキュリティ」を採用する企業の例を取り上げている。

 チョードゥリーは、現状ではWFAの移行が困難な側面はあるとしながら、企業は現状のままでWFAが可能かどうかを考えるよりも、WFAを可能にするためには何が必要かを考えることが重要だと主張した。

信頼関係や組織文化の希薄化をどう防ぐか

 チョードゥリーが提示した論点を深く掘り下げた論考として、“WFH Is Corroding Our Trust in Each Other,” by Mark Mortensen and Heidi K. Gardner, February 10, 2021.(邦訳「在宅勤務で失われた信頼をどうすれば再構築できるのか」DHBR.net2021.04.02)を紹介しよう。

 従業員はリモート環境において、コロナ禍がもたらす経済と雇用の先行きの不確実性から不安を感じている。加えて、リモートワークに必要なテクノロジーの不具合、仕事のルール変更、家庭生活とのせめぎ合いなど、多くの問題を抱えている。その結果、組織に対する信頼やメンバー相互の信頼関係を失うおそれがあり、企業は退職者の増加や生産性の低下というリスクにさらされている。

 筆者はこの問題を解決するために、いくつかのアプローチを挙げた。たとえば、まずは相手を信頼する「自動的に信頼するタイプ」と、相手が信用に値することを証明されるまでは自分をリスクにさらさないようにする「エビデンスに基づいて信頼するタイプ」に分けて、それぞれに応じた信頼の構築と維持、そして回復する方法を提案している。

 また、チョードゥリーの論文では深く触れられていない点として、リモートワーク で組織文化をいかに構築するかという問題も無視することはできない。特にコンサルタントなどの知識労働者にとって、継続的な学習や知識共有を促す文化を形成することは不可欠だ。

 たとえば、“WFH  Doesn’t Have to Dilute Your Corporate Culture,” by Pamela Hinds and Brian Elliott, HBR.org, February 01, 2021.(邦訳「在宅勤務による組織文化の希薄化をどうすれば防げるのか」DHBR.net2021.03.30)では、在宅勤務における組織文化の問題が論じられている。

 従業員間に物理的な距離が存在する場合、他者と有意義な形でつながる能力を十分に発揮することは難しい。その状況が続くけば、共通理解を確立することが困難になる。

 また、組織文化は従業員の振る舞いや服装、あるいは卓球台のあるオープンオフィスの空間や木目の壁と革張りの椅子がある伝統的なオフィスなど職場環境がシグナルとなり強調され、組織に浸透する。しかし、リモート環境ではそれも難しく、組織文化の希薄化が進行しやすい。

 これらの課題を解決するために、筆者は、オフィス中心の時と同じやり方ではなく、異なる方法で文化を構築することが重要だとし、自社の組織文化を意識的に強化した企業の事例を挙げている。

 たとえばIBMには、インクルージョン(包摂)と社員の自発性を重んじる同社の文化がある。インクルージョンとは、多様な組織メンバーそれぞれの幸福を目指して、自発性を促す価値観のことだ。

 IBMではリモート勤務中の社員たちが、仕事と私生活のバランスを取るために互いにどう支援し合えばよいのか、家族との時間の必要性にどう配慮すべきか、社会的なつながりを(バーチャルで)保つためにどうすればよいのかなどが明記された「在宅勤務に関する誓い」が草の根で作成された。そしてアービンド・クリシュナCEOは、自社の価値観を広めるために、この誓いをリンクトインに投稿した。

 リーダーは、在宅勤務の柔軟性がもたらすメリットを尊重するとともに、メンバー間の絆の結び直しと新メンバーとの交流を実現するために、時には対面のイベントを用意するなど、新たな未知の時代に向けて、リモートファーストの文化の形成を促進すべきだと筆者らは主張する。

「在宅勤務による組織文化の希薄化をどうすれば防げるのか」と同様の問題意識で書かれた論考に、“3 Tenets of a Strong Remote Culture,” by  Nicholas C. Lovegrove, HBR.org, December 22, 2020.(邦訳「リモートで強固な組織文化を築くための3つの原則」DHBR.net2021.02.24)がある。

 この中では、イエズス会や米国海兵隊を並び称されて強固な組織文化を持つといわれるマッキンゼー・アンド・カンパニーの事例が紹介されている。筆者のラブグローブはジョージタウン大学マクドノー経営大学院の実務教授を務めているが、それ以前はマッキンゼーで30年間勤務していた生粋のOBである。

 コンサルタント働き方は分散的で、かつチームもプロジェクトごとに形成される一過性のものでありながら、マッキンゼーでは強固な組織文化が維持できている。筆者はその要因として、次の3つの原則を挙げている。

 第1は、交流と学習のための豊かな環境を築くことである。マッキンゼーの場合、全員にオフィスへの出勤が求められる「スーパーフライデー」や「バリューズ・デイ」の開催を通じて、同社の文化を支える規範、信条、根本的前提に対する社員のコミットメントを再確認する機会を設けている。

 第2は、チームを重視することだ。各プロジェクトの開始時に独自のチーム憲章を策定するなど、全社の組織文化に加えて、優れたチーム文化の構築にも最大限の時間と労力を注いでいる。

 第3は、文化の核心を磨き上げることである。これまでと同じ規範、価値観、信条を持ち続けるのではなく、文化も進化しうるという前提に立ち、変わりゆく環境に適応し続けることの重要性を認識している。

リモートワークが続くかどうかでなく
どうすれば続けられるのかを考える

 在宅勤務やリモートワークは、アフターコロナにおいても定着するのか。その取り組みは一様にうまくいくわけではない。国ごとや組織ごとの文化の違い、あるいは働き方の違いという視点から考察することが求められる。

 国家間の文化の違いについて、たとえば『経営文化の国際比較』を著したヘールト・ホフステードは、世界各国の間に存在する「文化的距離」を権力格差や不確実性の回避などの指標に基づきスコア化し、「心理学、社会学、経営学で確立された理論が、どの社会にも当てはまると説くのは間違っている」と指摘した。

 また、INSEAD客員教授のエリン・メイヤーは、“Navigating the Cultural Minefield,” HBR, May 2014.(邦訳「カルチャー・マップ:世界を8つの指標で理解する」DHBR2015年2月号)で、コミュニケーション(Communicating)、評価(Evaluating)、説得の論理プロセス(Persuading)、統率(Leading)、意思決定(Deciding)、信頼(Trusting)、意見の対立(Disagreeing)、スケジューリング(Scheduling)という8つの指標を用いて、世界各国の企業における組織文化の違いを示した。

 メイヤーは、日本企業は序列を重んじるために、トップダウンで意思決定を下すと誤解されがちだという。しかし、日本企業の意思決定に注目すると、序列を非常に重視すると同時に、事前の合意形成も同じくらい重視する文化を持つことがわかっている。この点から考えると、在宅勤務やリモートワークは合意形成を積み重ねていくという作業をより困難にするため、日本企業がコロナ後も継続する際のハードルになりかねない。

 また、欧米企業のように職務分掌が「ジョブ型」で明確に規定される環境では、個人が果たすべき役割が比較的明確なので、チームが分散して働く在宅勤務やリモートワークが受容されやすいといえる。

 一方で、日本企業のように、職務分掌が曖昧だからこそ柔軟性を持ち、知識共有を重視する「メンバーシップ型」の働き方の場合はどうだろうか。「リモートワークで組織の生産性を高める方法」で指摘された仲間意識の希薄化などの影響をより強く受ける可能性がある。

 新型コロナウイルスの感染拡大は組織のあり方や働き方を大きく変え、それ以前の状態に完全に戻ることはないかもしれない。コロナ終息後も在宅勤務やリモートワークを継続する企業は相当数に上ることが予想されるが、チョードゥリーが指摘するように、それが自然と定着するかどうかを考えるよりも、在宅勤務やリモートワークを可能にするためにどのような改革が必要かを考えるべきではないか。