『Harvard Business Review』を支える豪華執筆陣の中で、特に注目すべき著者を毎月1人ずつ、首都大学東京名誉教授である森本博行氏と編集部が厳選して、ご紹介します。彼らはいかにして現在の思考にたどり着いたのか。それを体系的に学ぶ機会としてご活用ください。2019年12月の注目著者は、ハーバード・ビジネス・スクール教授のボリス・グロイスバーグ氏です。

知識経済社会の通念を問う

 ボリス・グロイスバーグ(Boris Groysberg)は1971年生まれ、当年48歳。ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の組織行動ユニットに所属するリチャード P. チャップマン記念講座経営管理教授を務める。研究分野は、企業が持続可能な競争優位を獲得するために、戦略の実効性を高める人材(talent)マネジメントとリーダーシップである。HBSのMBAとエグゼクティブ教育プログラムで教鞭を執る。

 グロイスバーグは1994年にニューヨーク大学に入学すると、会計学を専攻した。卒業後はIBMに就職したが、1997年にHBSのDBAプログラムに進学し、Corporate Policy(企業戦略)を専攻した。

 DBAプログラムの研究では、同校で准教授を務めていたアシシュ・ナンダ(Ashish Nanda)の指導を受けた。2002年、“Can They Take It with Them? The Portability of Star Knowledge Workers' Performance”(有能な人材は異動・転職先でも同様なパフォーマンスを発揮できるのか? スタープレーヤーである知識労働者のパフォーマンスの移植可能性)を執筆してDBAを授与されると、同年にHBSの助教授として採用され、HBSのファカルティ・メンバーとなり、現在に至る。

 グロイスバーグの研究における問題意識は、世の中の人事分野で通念となっている人材マネジメント方法や慣行は正しいのか、である。企業が競争優位性を持つうえで有能な人材を雇用して育成するための人的資源管理、企業文化および組織内コミュニケーションの健全なあり方とは何か、について研究している。

 現在の知識経済社会では、卓越したパフォーマンスをもたらす有能な人材の存在が、企業の競争優位の源泉ともいえる。だが、それらの人材を社内で育成する時間とコストを考えた結果、社外から実績ある人材を獲得することが常套手段となっている。

 そこでグロイスバーグは、DBAプログラムでの1998年から、中途採用されたCEO、研究者、ソフトウエア開発者、投資銀行のアナリスト、広告、広報、経営コンサルタント、法務などのプロフェッショナル人材に関する追跡調査を開始し、「スタープレーヤー」と呼ばれるプロフェッショナル人材が、異動や転職でパフォーマンスを移植する可能性について、アンケート調査に基づく統計分析と丹念な追跡調査による豊富な事例研究から検証した。

 ちなみに、研究指導を担当したナンダは、現在HBSで学長を務めるニティン・ノーリア(Nitin Nohria)と同様にインド工科大学の出身者であり、ハーバード大学大学院で経済学の修士とPh.D.を授与された。ナンダは、博士課程を修了した1993年からHBSのファカルティ・メンバーとなったが、現在はインドに戻り、2013年からインド経営大学院(IIMA)のディレクターを務めている。

 博士論文の口頭試問である審査会には、ジョージ・ベイカー(George Baker)、ポール・ヒーリイ(Paul Healy)、ニティン・ノーリア、そしてナンダが出席した。グロイスバーグが助教授時代に『Harvard Business Review(ハーバード・ビジネス・レビュー)』(以下HBR)誌に寄稿した論文の多くは、これら著名な研究者の指導と後ろ盾を得て共著となっている。

転職後もスター・プレーヤーであり続けるために

 グロイスバーグがHBR誌に最初に寄稿した論文は、“The Risky Business of Hiring Stars," with Ashish Nanda, and Nitin Nohria, HBR, May 2004.(邦訳「スター・プレーヤーの中途採用は危険である」DHBR2004年10月号)である。

 これはナンダとノーリアとの共著となっているが、博士論文での問題意識をベースに実施した調査研究の結果をまとめて、彼の最初の著作となった、Chasing Stars: The Myth of Talent and the Portability of Performance(スターを追って:スター人材の神話とパフォーマンスの移植性), 2004.(未訳)の要約である。

 この論文では前述の博士論文と同様に、知識経済の担い手として輝きを放ったスター・プレーヤーを自社の戦力として雇用したものの、一時的に煌々と光を放った「すい星」のごとく、その輝きが瞬く間に消えてしまうのはなぜか、という問題意識を提示した。スター・プレーヤーをスターたらしめる要因が、前職での上司から与えられたリーダーシップや社内の人脈など組織固有の要因に依存しているにもかかわらず、それを軽視している点を指摘している。

 さらに、転職後もスター・プレーヤーとして活躍できる場合を考察した。たとえば、スター・プレーヤーの採用目的が、新規事業の立ち上げや調査チームの強化の場合には社内組織の反感から協力を得られない一方、スター・プレーヤーが抜けた後の現行業務を維持するために雇用された場合には問題がないとしている。この論文では、スター・プレーヤー人材を活かすための条件を示しているものの、企業はスター・プレーヤーを雇うのではなく、スター・プレーヤーの育成を心がけるべきではないか、と主張している。

 企業がスター・プレーヤーを獲得する方法として、採用する他にも、企業買収によって雇用することになる場合もある。“Lift Outs: How to Acquire a High-Functioning Team," With Robin Abrahams, HBR, December 2006.(未訳)では、買収した企業のスター・プレーヤーを含む有能なチームを、新たな経営環境や組織に統合・適応させるための4つの段階を提示している。

 前述のスター・プレーヤーのパフォーマンスを移植する可能性に関する調査では、ゴールドマン・サックスなどウォール街の投資銀行で働く1000人以上のアナリスト対象としていた。その後3年をかけて追跡調査してみると、スター・プレーヤーが女性アナリストである場合には、転職後もその地位を維持していることがわかった。

 グロイスバーグは、“How Star Women Build Portable Skills," HBS, February 2008.(邦訳「女性プロフェッショナルのキャリア開発」DHBR2008年6月号)において、特に女性スター・プレーヤーが、そのパフォーマンスを維持できている要因を探求している。

 女性と男性との大きな違いは、男性が社内でののみ通用するスキルや人脈づくりに熱心であるのに対して、女性は職場を問わず、クライアントをはじめとする社内外の交友を広げていたことにあった。また転職するにあたり、能力の適用に関して転職先を念入りに注意深く調査していることも、彼女たちがパフォーマンスを維持できている要因であるという結論であった。

CEOの能力をどうすれば移植できるのか

 CEOのような企業経営者の場合は、転職後もその経営能力は維持できるものなのか。その問題意識を検討した論文が、“Are Leaders Portable?" with Andrew N. McLean, and Nitin Nohria, HBR, May 2006(邦訳「GE出身者でも失敗する時」DHBR2007年1月号)である。

 1990年代、新興企業は、生え抜きの経営者を社内で時間とコストをかけて育成するよりも、次なる成長のために社外から実績のある経営者を起用すべきという風潮が高まっていた。その供給元になったのが、伝統的な人材育成プログラムを備えていたゼネラル・エレトリック(GE)で、「スター・プレーヤーの宝庫」と呼ばれていた。GEからCEOを迎え入れた企業に対して株式市場は好感を示し株価が上がり、企業の時価総額が増加すると言われた。

 この調査では、1989年から2001年の間に、会長もしくはCEOに指名された20名のGE出身者のキャリアから経営スキルを「コスト抑制型」「成長牽引型」「ライフサイクル管理型」に分類して、起用の効果の追跡調査を試みた。

 新しいCEOを社外から起用するということは、ビジョン構築、社員のモチベーションの高揚、組織設計、事業計画、業績評価、特定の業界に関する知識や人脈などの経営スキルと、経験という人的資本を新天地に移植することである。すなわち、個人が持つ多様な人的資本と経験を組織に導入することに他ならない。

 GE出身者20人の移籍後のパフォーマンスを調べてみると、人的資本の中でも、コスト削減などの戦略関連、業界特有の技術や制度などの産業関連、人脈や協働する人間関係という3つの知識とスキルは、迎え入れた当該企業や業界の独自性に依存していた。GE出身者の前職とは関係ない場合であっても、求められる経営課題や戦略ニーズなどの経営環境さえ合致していれば、前職での経営スキルを移植でき、役立つ可能性が高いことがわかった。

 その一方で、GEの組織文化や業務プロセス、独自のマネジメント・システムなど、GE固有の人的資本の移植は困難であった。外からCEOを迎え入れる企業は、CEO候補者が、どのような人的資本の持ち、それは自社の経営環境に移植可能なのかについて、事前に評価すべきである。

 コーン・フェリーによるCEOに関する調査によると、S&P500の米国企業の中で、その1割近い企業のCEOは軍隊出身者である。軍人には軍務で育成された独特のリーダーシップ・スキルがある。

 グロイスバーグは、"Which of These People Is Your Future CEO?" with Andrew Hill, and Toby Johnson, HBR, November 2010.(邦訳「出身軍隊別:元軍人CEOの適性診断」DHBR2011年1月号)で、軍隊でも海軍、空軍、陸軍、海兵隊出身者というリーダーシップ・スキルの特徴の違いから、経営者としての成功要因を検証している。

 海軍と空軍では、戦艦や戦闘機という相互依存性の高いルールにもとづくシステムで運用されており、そのリーダーシップはルールの精密さとプロセス重視の文化に依存している。海軍と空軍出身のCEOは、経営にあたってコンプライアンスを遵守し、プロセス志向の着実な経営アプローチを採用する。イノベーションに対しては、市場に定着した製品と顧客ニーズを組み合わせる一つのプロセスとして捉え、持続的イノベーションを重要な業界で優れたパフォーマンスを示している。

 また、陸軍と海兵隊でリーダーシップが求められるのは、戦場での不確実性の高い状況や混乱した場合においてであり、権限移譲や柔軟な意思決定を行う必要がある。陸軍と海兵隊出身者のCEOは、柔軟な姿勢で、みずからのビジョンにもとづき行動できる権限を従業員に与えるので、特に中小企業において卓越したパフォーマンスを示している。

転職で失敗しないために、
転職者と採用担当者が意識すべきこと

 グロイスバーグの研究は、新天地で求められる経営環境と前職での経営スキルとが一致する場合には、パフォーマンスが有効に発揮できることを示している。裏を返せば、新天地の経営環境と経営スキルが一致していないときには、パフォーマンスを発揮できずに失敗することになる。

"Five Ways to Bungle a Job Change." with Robin Abrahams, HBR, January–February 2010.(邦訳「転職で失敗する理由」DHBR2011年3月号)では、転職者が一般的に失敗する理由について、転職斡旋や採用を行うエクゼクティブ・サーチ会社のヘッドハンターや多国籍企業の人事部門担当者を対象に調査を行い、転職が失敗した理由を明らかして、その過ちを回避する方法を言及している。

 転職における失敗は、5つの理由に尽きる。(1)転職先との相性などの下調べが不十分で転職する、(2)報酬に釣られて転職する、(3)現状から逃れるために転職する、(4)「確証バイアス」によって自分のスキルを過大評価して転職する、(5)目先のことしか考えずに転職する、ことである。

 また、“The Definitive Guide to Recruiting in Good Times and Bad," with Claudio Fernández-Aráoz and Nitin Nohria, HBR, May 2009.(邦訳「不況期こそ人材獲得のチャンス」DHBR2009年8月号)では、採用側の視点に立ち、人材採用と企業業績の長期的な関係に関する調査を踏まえて、経営管理職となる人材採用活動における現状の問題点と、その最も効果的な方法を考察している。

 調査によれば、現行の人材採用の決め手が、チームワークの能力やリーダーシップ、新しいことに挑戦する意欲ではなく、求める資質の場当たり的な設定、具体的な判断基準の欠如、採用担当者個人の主観的な直観に依存しており、採用された人材の約3分の1が採用後3年以内に辞めているという。

 グロイスバーグは採用の適切なプロセスとして、(1)人材ニーズを予測する、(2)業務内容を特定化する、(3)候補者を多数プールする、(4)候補者を評価する、(5)契約を交わす、(6)採用者を組織に溶け込ませる、(7)採用プロセスを監査、評価する、という7つステップを具体的に提示している。

リーダーに求められる
「高い可能性」を育成するために

 一般的な通念として、従業員のモチベーションが高まれば、企業業績が向上するということは、経験的にも裏づけられている。

 たとえば、2002年にポール R. ローレンスとノーリアが共著で執筆した、Driven: How Human Nature Shape Our Choices, 2002.(邦訳『ハーバード・ビジネススクールの〈人間行動学〉講義』ダイレクト出版、2013年)では、人間が行動を起こすモチベーションになる、獲得(acquire)、絆(bond)、理解(comprehend)、防御(defend)という、人間の頭脳に先天的に備わっている4つの「欲動(drive)」が、環境の変化に素早く反応しながら、脳内でダイナミックな相互作用を繰り広げることによって人間のあらゆる経験を生み出す、という仮説を検証している。

 グロイスバーグは、“Employee Motivation: A Powerful New Model," With Nitin Nohria and Linda-Eling Lee. HBR, July–August 2008.(邦訳「新しい動機づけ理論」DHBR2008年10月号)において、経営者は従業員のこれら4つの欲動を満たし、モチベーションを高めるには具体的に何をすべきかを論じた。仕事への愛着度、従業員満足度、仕事を実行する真剣度を示すコミットメント、離職意思という4つの指標で大規模な調査を行い、モチベーションを高めるための具体的なモデルを提示している。

 技術革新や事業環境が急激に変化し、経営が複雑化する時代においては、求められる経営者の役割やリーダーシップのスキルも変わらなければならない。では、CEOや経営トップを目指す人材は、昇進のためにどのような能力を伸ばすことに集中すべきなのだろうか。

 グロイスバーグは、“The New Path to the C-Suite," With L. Kevin Kelly, and Bryan MacDonald, HBR, March 2011.(邦訳「Cスイートの新たな役割」DHBR2011年9月号)で、CEOやCFOなどの経営陣となるCクラス人材(C-Suite)における近年の傾向と、求めれる知識や能力について言及している。

 たとえば、CEOの場合、次の時代に競争優位を打ち出すためには、現行のスキルだけではなく、強力なコミュニケーション力、共感、協力、信頼構築のスキルがますます重要視されるようになっている。また、CFOであればリスク・マネジメントの戦略、CIO(最高情報責任者)ならば新たなビジネスモデルの構想、CHRO(最高人事責任者)ならば後継経営者の人材育成計画や新たな時代の人事制度の構想が求められる。

 Cクラス人材として活躍するためには、専門分野に秀でていることは単なる出発点であり、かつ最低限必要な能力である。専門分野以上にビジネス全般を考察でき、戦略思考であることが求められる。

"How to Hang on to Your High Potentials." with Claudio Fernández-Aráoz and Nitin Nohria, HBR, October 2011.(未訳)では、将来的に企業の経営陣となるスター人材を評価して育成する方法に関する調査結果を報告している。スター人材は、優れたパフォーマンスだけでなく、経営陣として役割のイメージや動機、洞察力、そして賢明なリーダーとして他者を引きつけるリーダーシップやコミュニケーション力など「高い可能性」を定義する必要があると主張した。

 さらに、“Leadership Is a Conversation," with Michael Slind, HBR, June 2012.(邦訳「会話力が俊敏な組織をつくる」DHBR2012年11月号)では、賢明なリーダーの組織内コミュケーションとして、事業環境の複雑化により実効性が希薄になった指示命令型ではなく、従業員との会話型プロセスの導入の必要性を主張している。

 この会話重視型プロセスの最大の利点は、大企業であっても新興企業が持つ業務の柔軟性や従業員の熱意、組織の一致団結の精神を引き出して動かせるようになることである。そうしたコミュニケーション・モデルをつくるにあたり、個人間の会話の特性と対応させてみると、組織内コミュニケーションには「親密性(intimacy)」「双方向性(interactivity)」「包括性(inclusion)」「意図性(intentionality)」の4つの要素が絡み合いながら統合されて、1つのプロセスを形成していることがわかった。グロイスバーグはこの議論を書籍にまとめて、Talk, Inc.:How Trusted Leaders Use Conversation to Power their Organizations, 2012.(未訳)を上梓している。

 企業の持続的な成長とパフォーマンスを維持するためにトップリーダーができることは、確かな企業戦略と組織文化を意図的に革新することにある。

 グロイスバーグは、"The Leader's Guide to Corporate Culture: How to Manage the Eight Critical Elements of Organizational Life," with Jeremiah Lee, Jesse Price, and J. Yo-Jud Cheng, HBR, January–February 2018.(邦訳「変革は企業文化に従う」DHBR2018年5月号)では、リーダーの意思を企業目標として論理的に示す戦略と、その前提として表裏一体の関係にある組織文化をマネジメントすることの意義について言及している。

 組織文化とは組織に備わる暗黙の社会秩序であり、それによって組織の意識や行動を形成し、組織を永続させることができる。組織文化を分析すると、変化への対応度となる「柔軟性」と「安定性」、組織メンバーとの関係性を示す「相互依存性」と「独立性」の2軸の上に8つの特性があることがわかった。そして、組織文化の8つの特性とは、「思いやり」「目的意識」「学習」「楽しさ」「結果志向」「権力」「安全性」「秩序」である。

仕事と家庭を両立するために

 グロイスバーグは、リーダーシップに関して多様な視点で研究している。"Manage Your Work, Manage Your Life," with Robin Abrahams, HBR, March 2014.(邦訳「経営者は仕事と家庭を両立できるか」DHBR2014年9月号)では、仕事と家庭生活をいかに両立させるのかを検討した。

 この論文は、実に4000人に及ぶ経営幹部に対してHBSの学生が5年間にわたり実施したインタビュー調査と、HBSのリーダシップ・コースを受講した経営幹部に実施したアンケート調査結果を集約したものである。仕事で成功するチャンスを目の前にしながら、家庭生活と両立することに対する経営幹部からの答えは、(1)自分にとっての成功を定義すること、(2)通信技術の善し悪しを管理する、(3)サポートのネットワークを構築しておく、(4)出張や転勤は選択的に応じる、(5)パートナーと協力する、という5つであった。

 調査を実施した学生たちは、リーダーである経営幹部に共通に抱いている、「バランスのとれた人生を送りながら、グローバル市場で戦うことはできない」という考え方に抵抗感を示したものの、現在のビジネス界の現実として認識した。

 グロイスバーグは最初の著作 Chasing Stars の「まえがき」で、“My thoughts turn first to my parents, who sacrificed to come to this country and to offer me its opportunities. I am very grateful. They also been my greatest supporters emotionally.”(振り返って私の思いはまず、この米国に来て(高等教育を受ける)機会を私に与えるために犠牲となった両親に向けられます。私は(両親に)とても感謝しています。両親は(研究を続けるための)精神的な私の支えでした」と述べている。

 この短い感謝の言葉の中には、米国にやって来ておそらく経済的に苦しい生活を送る中、研究者として挑戦するグロイスバーグを支える両親の期待の深さと、それに応えようとしてきたグロイスバーグの生き方が想像できる。